J-PARC中性子産業利用の使い易さを求めて

ユーザーフレンドリーな中性子利用制度の調査


当協会が(一財)新技術振興渡辺記念会からの支援を受けて、中性子ビーム利用施設J-PARC等の中性子利用制度に係る調査研究を行いました。本調査研究の動機&目的、調査結果、調査結果に基づいての提言を以下に示しました。なお、本調査研究報告書(抜粋版)は左欄からダウンロード出来ます。


A.本調査研究の動機と目的

中性子ビームは、放射光と同様に物質の原子・分子レベルでの構造と運動を計測する量子ビームプローブであり、無機材料から生体までの機能を研究し、新たな材用を開発するうえで、不可欠なものです。この有用な中性子が利用出来る大型施設をもっとユーザーフレンドリーなものとするためには、解決すべき以下の課題があります。

  1. 本格的な中性子ビーム利用施設は現在のところ東海村にある研究用原子炉(JRR-3)、大型加速器(J-PARC/MLF)に限られており、利用者のアクセスが容易ではない。
  2. 研究課題申請が年2回に限られており、機動的ではない。特に、企業にとっては研究開発スピードに全く合わず使い難い。
  3. 中性子ビーム実験データの解析手法があまり一般化していないので、使い難い。

そこで、この課題を解決するために当協会は(一財)新技術振興渡辺記念会から平成26年度科学技術調査研究助成(下期)を受けて「J-PARC/MLFやJRR-3が備えるべき利用制度と支援体制」に関する調査研究(面談アンケート調査と施設への提言)を1年間にわたって実施し、アンケート結果や制度改善すべき事項について関係者へ提言すると共に意見交換をすることにしました。



B.アンケート調査結果

  1. 回答者について
  2. 回答者の所属等


  3. 随時利用制度について
  4. 随時利用制度への回答


  5. 実験代行やメールインサービスについて
  6. メールインサービス(1)
    メールインサービス(2)


  7. 有償高度解析支援について
  8. 有償高度利用



C.J-PARC/MLFへの提言

  1. 随時課題公募制度の導入
    • 年に7~8回、公募~実施45日以内、できれば 2~4週間程度
    • 費用の増加は25%増し又は数万円/日ならOK
    • 毎運転サイクルに随時利用枠(1~2日程度)の確保
    • 常設P7分科会で迅速簡便課題審査
    • 短い実験提案のみ受付

  2. 代行実験、メールインサービス制度、高度解析支援の導入
    • 装置担当者または第三者機関が担当
    • 大学を含めた解析チームの編成支援希望
    • 事前に達成目標、解析レベル、解析方法、納期、費用、実施者名等の明確化および契約化

  3. 産業利用ビーム枠の設定
    • 当面、毎運転サイクルの随時利用枠を産業利用枠とする

  4. 懇切丁寧な中性子ビーム利用情報、データ解析手法の提供
    • コーディネーター、コンサルタントの充実
    • 装置グループによるビーム実験付のデータ解析講習会の開催
    • データ解析手法(小角・全散乱データ解析等)の提供と利用指導

  5. 課題申請システムの改善
    • 提案から報告まで統一的に使い易くする

  6. お試し実験制度の導入
    • 短時間お試し実験を希望
    • お試し+本実験で申請(採択後にお試し部分を早期実施、見通し無しなら無料。本実験に進んだ場合合算して課金)

  7. 大学研究者を含めた支援体制の構築
    • 最先端のデータ解析ができるグループの導入
    • 大学等の専門家と研究提案者グループのマッチングを積極的に奨励

  8. 施設へのアクセス方法、施設付帯環境の改善
    • 原子力機構を経由せずMLFへ直接アクセスを
    • 利用宿泊施設、MLF内の休憩室、サイト内食品店・食堂、移動手段の充実・整備

  9. 非公開課題利用料金の現実的な適用
    • 非公開課題の費用の検討 (約250万円/日で4日使えば1,000万円超の高額になり長時間測定を非公開での利用申請できないので、その対応策として、①上限枠を設定する、②年間最大利用日数を決めて上限500万円で年2回以内の利用許可する、などについての検討)

  10. 施設の定常的な運転の確立
    • MLFの世界最先端技術を定着化して、計画に従った定常的な中性子ビームの供給および利用研究遂行の実現


D.J-PARC施設関係者への説明と制度改善要望

アンケート結果や制度改善提言内容について、J-PARC/MLF施設関係者(JAEA,KEK)、指定登録支援機関(CROSS)、専用装置設置機関関係者(茨城県)、量子ビームサイエンスフェスタ参加者、などに説明すると共に議論をしました(平成28年2~5月)。その結果、制度改善が必要との認識で一致しました。
また、この活動を文部科学省へ報告しました。


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調査研究報告書
(抜粋版)
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