非密封RI取扱施設の開設方法について

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作成： 2003/10/31 森　一幸データ番号　　　：040282 非密封RI取扱施設の開設方法について目的　　　　　　：非密封RI取扱施設の開設放射線の種別　　：ベータ線,ガンマ線概要　　　　　　：　非密封RIは、非密封RI取扱施設で使用しなければならない。この施設は放射線障害防止法令に定める多くの条件を満たすように設計し、文部科学省に使用許可申請を行う必要がある。施設建設後、建物の基準（耐火構造、不燃材料使用など）や各種能力（排気、遮蔽など）について施設検査を受けて、合格し、さらに、放射線障害予防規定の作成や放射線取扱主任者の選任をした上で、初めて、使用可能となる。管理区域内で仕事をする作業従事者は、事前に、放射線教育を受ける必要がある。詳細説明　　　　：　　非密封RI取扱施設を開設する場合には、以下のような手順を経る必要がある。1.施設の設計、2. 法定値を超えるRIを使用する場合に許可申請書の作成・提出、3.許可書受領後に建築、4. 必要な場合に原子力安全技術センターの施設検査を受検、5. 放射線予防規定を作成・届出、6. 放射線取扱主任者と代理者を選任・届出、7.使用者の放射線教育、電離検診、一般検診、8.使用前の線量測定、9.個人線量計の配布、10.消防署長へ届出、11.RIの購入。　　設計は使用者人数、使用方法、使用核種、使用量及び予算を把握し、法令に定められている線量等の施設に関する基準を満たすか否かを検討する。一般的な配置を図1に示す。図1　非密封取扱施設の概念図、太い矢印は空気の流れ、細い矢印は排水の流れ、点線は信号の方向を示す。太い点線は管理区域の範囲を示す。（出典：データ作成者自作）　施設のデザインでは、　 1.各部屋での線量及び汚染の可能性を判定し、高線量又は高汚染の区域から順に奥から配置する。一般的にはRIを小分けする場所、貯蔵室、廃棄物保管室を奥にし、測定室、汚染検査室、出入り口の順である。 2.使用量、核種に対応した合理的に、必要以上の設備にしない。 3.複数のグループが使用する場合は特に作業の動線を考慮する。 4.ハンドフットクローズモニター、エリアモニター、排気モニター、排水モニターを放射線管理室に集中し放射線管理を行いやすくする。図2　非密封取扱施設開設までの作業・手続き（出典：データ作成者自作）　線量の適合に関する計算は、管理区域境界、事業所境界、常時立ち入り場所、事業所内の居住区域について、下記の点に留意して行う。　 1.⁵⁹Fe等の高エネルギーγ線は線量に関する限度への寄与が大きい。 2.³²P等はターゲットを定め制動放射線についても計算する。 3.適宜遮蔽材使用を使用の条件にする。 4.貯蔵量を定める。一般的には年間使用量と同じである。 5.廃棄物保管室内の廃棄物量は１日最大使用数量の全量を廃棄、年1回引き取り、減衰計算を行うという条件で算出する。　　空気中濃度の適合に関する計算は、使用室内の空気と排気中濃度について、下記の点に留意して行う。　 1. 使用室内の空気中の濃度が限度を超えないことを確認する。室内への飛散は液体・固体をフード内で取扱う場合は1日最大使用量の1/1000、フード外で取扱う場合は1/100で計算する。トレーサー実験施設での換気回数は、低レベル区域は10回/h又は8～12回/h、中レベル区域は10～20回/h又は12回/h、高レベル区域では20 回/h又は12～60回/hで計算する。 2.風の方向は低濃度区域から高濃度区域にする。 3.施設内は施設外に比べて負圧にする。ただしドアの開閉のしやすさ、風切り音を考慮する。 4.排気中濃度が限度を超えないことを確認する。排気量は各室の排気量の合計量とする。液体・固体の場合の飛散率は1日最大使用量の1/100とする。高性能フィルターの捕集効率は99％とする。　　排水中濃度の適合に関する計算は、使用者数から推定した排水量、RI混入率1/100、排水作業頻度から貯留槽の数及び大きさを決定する。この際、下記の点に留意する。　 1.１次２次実験水は一時保管した後に廃棄業者に引き渡す等の使用条件を考慮する。 2.貯留槽２基と希釈槽１基以上が望ましい。 3.点検が出来るようにタンクにする(地中埋設にしない)。　　　　建築に関しては、一般的な実験施設とは以下の点で異なるので注意しなければならない。　 1.床等の仕上げは平滑で浸透しない材料を用いる。目地を溶接した合成樹脂シート貼り、又は合成樹脂塗り床。床は壁との接合部で立ち上げ接着する。壁は耐薬品性の合成樹脂塗料で、目地をなくする。天井は平滑な材料で仕上げる。 2.使用室・廃棄施設の主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)は耐火構造又は不燃材料で作る。 3.貯蔵室(主要構造部は耐火構造で作られ、又開口部は特定防火戸,排気ダクトに防火ダンパーを設けること)か貯蔵庫(耐火性)にするかは施設の構造や使用の状況などを考慮し決定する。3.汚染検査室にはシャワー及び更衣設備を設ける。コメント　　　　：　非密封RI取扱施設を開設する場合には多くの関係部署との調整が必要である。同じ使用方法、核種及び量を使用している施設の例をよく検討し、将来の業務の種類、規模を予定して施設をデザインしなければならない。また、予算部門、文部科学省、建築部門、消防署、労働基準監督署、モニターメーカー、放射線管理会社等との度重なる打ち合わせが必要である。また必要な技術知識も放射線に関してだけではなく、建築、消防、危険物取扱い、労働法等多岐にわたる。原論文１ Data source 1：大学等における放射線安全管理の要点大学等放射線施設協議会編丸善、1998 原論文２ Data source 2：放射線管理実務マニュアル（Ⅰ）日本アイソトープ協会編丸善、1984 原論文３ Data source 3：放射線障害防止法に基づく安全管理ガイドブック原子力安全技術センター編原子力安全技術センター、2002 参考資料１ Reference 1：アイソトープ法令集Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ 日本アイソトープ協会編丸善、2002 キーワード：非密封RI取扱施設　設計基準　線量限度　空気中濃度限度　排水中濃度限度　使用許可申請　放射線障害予防規定　放射線取扱主任者　放射線教育　電離健康診断分類コード：040207
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