放射性同位元素等の使用施設の開設方法

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作成： 2003/03/23 中里　一久データ番号　　　：040272 放射性同位元素等の使用施設の開設方法目的　　　　　　：放射性同位元素等の使用施設を開設する場合の手続き放射線の種別　　：アルファ線,ベータ線,ガンマ線,電子放射線源　　　　：放射性同位元素（⁶⁰Coなど）、電子加速器、イオン加速器応用分野　　　　：放射線滅菌・殺菌、高分子加工、育種、放射線治療、放射線診断概要　　　　　　：　放射線および放射性同位元素（RI）の使用施設を新たに開設する場合には、施設の安全設計を行い、監督官庁への届け出や許認可申請を行なう必要がある。詳細説明　　　　：１．開設申請の準備　　放射線および放射性同位元素（RI）の使用施設を新たに開設するには、放射線とRIのいずれのどの分野における使用であろうとも、法規制の内容を知り、遵守することが重要である（参考資料1-5）。　　アイソトープ法令集（参考資料１）は、Ⅰが放射線障害防止法、Ⅱが医療法関連を、Ⅲが労働安全衛生法関連を網羅している。施設開設には、許認可申請あるいは届出にあたり、施設の放射線安全設計が欠かせない。この設計には、行政指導である各種の通知や指針などを参照し、これらの指針を満たすように行う（参考資料１）。　　図１及び図２は、放射線障害防止法（図１）および医療法(図２)が適用される施設を開設するまでに必要な手続きをそれぞれ示している。図1　放射線障害防止法に係わる施設の開設までの流れ（参考資料3より引用）図2　医療法上の手続きと放射線障害防止法上の手続きの関係（参考資料4より引用）　２．安全設計　　RI使用施設を設計するには、1)放射線安全に関する設計と、2)建築基準に関する安全設計を並行して行うことになるが、前者の安全設計の結果を後者に反映させることが重要である。　　施設の設計においては、遮へいに関わる壁厚や遮へい材料および迷路構造などの諸条件を決定し、法の基準に合致するように施設を建設する。建設の過程で、評価した遮へい厚さ（壁の厚さなど）を証明する写真をとり、設計の図面と併せて資料とする。コンクリートや鉄などの遮蔽体を用いる場合、これらの密度のデータも資料として要求される。施設の遮へい設計を行うためには、非密封RIや密封RIからの放射線に関する遮へい基礎データと、施設に合った遮へい計算法を選択する（参考資料7）。遮へい設計では、施設の管理区域境界が法の基準を満たすように厚さを決定する。管理区域境界が一般区域と接している場合には、この管理区域境界は、一般区域を充分に満たすように、遮へい設計を行う。加速器施設の遮へい設計や大強度の放射線源を扱う施設では、外部への通路や連絡路がある場合には、遮へい壁の厚さのほかに、迷路を用いて放射線を減衰させる必要が起こり、迷路設計法を採用して評価する（参考資料6, 7）。　　排気施設や排水設備の設計では、排気能力や排水能力は、法に定められた濃度限度（参考資料1、別表）を満たすように行なう。作業室の空気中濃度あるいは排気中の排気スタック出口におけるRI濃度の安全計算により排気能力を決定し、同様に、排水中のRI濃度計算により排水能力を決定する（参考資料8）。排気計算に関わる飛散率や捕集率ならびに排水計算に関わる混入率、並びに減衰補正法などは、監督官庁から公布される通知に示されている（参考資料1、8）。　　３．監督官庁への届出・許認可申請　　届出・許認可には書式や添付書類を用意する（参考資料1）。放射性同位元素や放射線発生装置の使用許可申請書は様式第1である。この様式を完成させるとともに、多くの添付書類（法人にあっては法人登記抄本、施設平面図、放射線安全設計書、他多数、詳細は、参考資料3、参考資料１の障害の防止に関する法律施行規則第2条を参照）を作成する。医療分野での施設開設用書式があり、上記と同様に用意する（参考資料4）。　　申請書を作成し、所定の添付書類と安全計算書が準備できたら、所轄の監督官庁に直接コンタクトし、申請の具体的手順を問い合わせる。申請書提出前に、申請書の書き方や内容について指導を受ける場合もあり、申請書を準備してヒアリングを受けることが多い。放射線障害防止法関連では、文部科学省放射線規制室（2003年現在）、医療法関係では都道府県の医務課、労働安全衛生法では所轄の労働基準監督署である。コメント　　　　：　安全設計を行なう場合、遮蔽計算などの計算はパーソナルコンピュータで表計算ソフトを用いて簡単にできるし、計算用のソフトウエアも市販されており、簡略化されている。また、放射線施設の設計から建設、維持まで行なってくれる企業もいくつかある。参考資料１ Reference 1：日本アイソトープ協会編アイソトープ法令集Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ(2002)、丸善参考資料２ Reference 2：厚生労働省放射線技師会編、診療放射線の届け出と実際、(1997)、日本法令参考資料３ Reference 3：日本アイソトープ協会編新版　放射線管理実務マニュアル、(2004)、丸善参考資料４ Reference 4：日本アイソトープ協会編改定版　医療放射線管理の実践マニュアル、(2004)、丸善参考資料５ Reference 5：（社）日本放射線技師会編放射線安全管理の手引き、(2002)、医療科学社参考資料６ Reference 6：日本アイソトープ協会編アイソトープ便覧、(1984)、丸善参考資料７ Reference 7：（財）原子力安全技術センター編放射線施設のしゃへい計算実務マニュアル 2000、(2000)、（財）原子力安全技術センター参考資料８ Reference 8：（財）原子力安全技術センター編被ばく線量の測定・評価マニュアル(2000)、（財）原子力安全技術センターキーワード：安全設計，しゃへい計算，RI濃度の安全計算，文部科学省放射線規制室, 都道府県医務課，労働基準監督署 safety design; radiation-shielding design; safety calculation of radioisotopic concentrations; Radiation Regulation Room, Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology; Medical-affairs Division in each prefecture; Labor Standards Inspection Office 分類コード：040107, 040207, 030604, 020205, 020408
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