放射性同位元素等の使用施設に係わる法規制

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作成： 2003/03/23 中里　一久データ番号　　　：040271 放射性同位元素等の使用施設に係わる法規制目的　　　　　　：放射性同位元素等の使用施設に係わる法規制放射線の種別　　：アルファ線,ベータ線,ガンマ線,電子,陽子,中性子放射線源　　　　：放射性同位元素（⁶⁰Coなど）、電子加速器、イオン加速器応用分野　　　　：放射線滅菌・殺菌、高分子加工、育種、放射線治療、放射線診断概要　　　　　　：　放射線および放射性同位元素の使用施設に係わる機関別法規制として、放射線障害防止法が基本となり、これに関連して、医療法・施行規則、労働安全衛生法（電離放射線障害防止規則）、薬事法、国家公務員法・人事院規則、放射性医薬品の製造および取扱規則等が定められている。詳細説明　　　　：１．わが国における放射線および放射性同位元素の利用　現在のわが国において、放射線および放射性同位元素（以下、RI）は理工学分野、農林水産業分野、学術・研究分野ならびに医学・医療分野等で広範に使用されている。その状態を模式的に示したのが右図である（参考資料1）。図1　我が国における放射線の利用実態（参考資料1より引用）拡大図 >> 　　利用形態で分類すると、1）トレーサ利用、2）照射利用、3）原子核反応、4）生物学的作用、5）電離・励起作用の利用、6）散乱・吸収の利用等々に分類される。　　RIは、A）密封されていない状態（非密封RI）での使用とB）密封された状態(密封RI)での使用施設に大別され、さらにa)医療用とb)医療以外に細分される。　　放射線発生装置では、直線加速装置やベータトロン、サイクロトロン、マイクロトロン、シンクロトロンが使用されている。このうち，直線加速装置の使用が92％を占めている（参考資料2）。　　これらの利用法を使用施設の側面から概観する場合は，医療用施設とそれ以外の施設での利用に分けると、わが国の放射線利用の特徴が浮かび上がる（参考資料2）。　　医療用では、非密封RIは、核医学診断・治療のためにTc-99mやGa-67他が主に使用されており、近年では極めて短半減期の陽電子放出核種（C-11やN－13など）がサイクロトロンにより製造され画像診断に使用されるようになっている（PET: Positoron Emission Tomography）。密封RI線源では，ガン患者の治療のために、小型で針状の容器に密封されたＡu-198やＩ-125等が（医療法では，照射器具という)患者に直接刺入されたり、Ｃo-60やＩr-192線源などがガイドチューブ゛等により患部に遠隔操作で挿入されて(医療法では、照射装置という)使用されている。　　医療分野以外では、非密封RIは主としてトレーサーとして利用され、化学反応機構の研究や分子構造の研究、遺伝子工学的研究，新薬開発および医学・生化学的研究他に広範に利用されている。密封RIは放射線照射のために主として利用され、非破壊検査や計測制御、材料の機能改善、品種改良および滅菌・殺菌等に多岐にわたって利用されている。　２．法規制の枠組み　我が国では、放射線およびRIの使用、販売、廃棄および賃貸に関して、様々な法規制がある。この理由は、原子力基本法の基本的な枠組み、すなわち「原子力の研究，開発および利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする」の下に、放射線による障害を防止して公共の安全を確保するためである。　　法令に盛り込まれた放射線防護の枠組みは、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に原則として基づいている。法は、放射線審議会による審議を経て制定される。原子力基本法を受け、わが国で最初に制定された放射線防護に関する法律は、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律（以下、放射線障害防止法）」であり、これが他の関連法令の基本となっている。法令は、これまでICRPにより勧告が公布される毎に改正され、西暦2000年にICRPの1990年勧告が取り入れられて、現在（西暦2003年時点）に至っている。（参考資料3,4）　　ICRPでは，放射線被ばくの増加をもたらす行為に対して、それを抑制するため放射線防護体系の下に放射線防護の三原則を提唱している。それは、1）行為の正当化(Justification)、2)放射線防護の最適化(Optimization)　および　3)個人の線量制限(Dose Limitation)である。このうち、1）は法の理念には適合しないので、法に直接盛り込まれていない。2）および3)を実現するために、法が条文化されている。　３．放射線防護に関する法令　放射線およびRIの使用を規制している法令を列挙すると、下表のように整理される。放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律（以下，放射線障害防止法）をはじめとして、医療法・施行規則，労働安全衛生法（電離放射線障害防止規則）、薬事法、国家公務員法・人事院規則（職員の放射線障害の防止）、放射性医薬品の製造および取扱規則，作業環境測定法、消防法（火災予防条令：消防法の規定により各地方自治体で定められたもの）、放射性物質等車両運搬規則等がある。表から、これらの法律・規則は、放射線あるいはRIを使用する機関別に，そして線源の種類毎に分類されて適用されていることがわかる。表1　放射線防護関連法令（参考資料4より引用）　　　線源の種類→ 　　　　　　　　　　　　機関別↓ 核燃料核原料物質放射性医薬品（注１）放射性同位元素（左記２欄のものを除く）放射線発生装置（エックス線,電子線については百万電子ボルト以上）エックス線発生装置（左記のものを除く）国立事業所（５現業の事業所を除く）医療施設規制法医療法施行規則人事院規則医療法施行規則人事院規則障害防止法医療法施行規則人事院規則障害防止法医療法施行規則人事院規則医療法施行規則人事院規則一般施設規制法人事院規則障害防止法人事院規則障害防止法人事院規則人事院規則民間事業所公立事業所（国の５現業の事業所を含む）医療施設規制法医療法施行規則電離則医療法施行規則電離則障害防止法医療法施行規則電離則障害防止法医療法施行規則電離則医療法施行規則電離則一般施設（医薬品等製造所を除く）規制法電離則障害防止法電離則障害防止法電離則電離則（注１）放射性医薬品とは,人又は動物の疾病の診断,治療又は予防に使用されることが目的とされているもので　　　　放射線を放出するものをいう（薬事法第１項第２号参照）。参考資料１ Reference 1：（社）日本アイソトープ協会編放射線のABC、 p.34、㈱丸善(1998) 参考資料２ Reference 2：文部科学省科学技術・学術政策局監修放射線利用統計 2002、㈱丸善(2003) 参考資料３ Reference 3：草間朋子、甲斐倫明、伴信彦放射線健康科学、pp.164-171、杏林書院 (1995) 参考資料４ Reference 4：日本アイソトープ協会編放射線・アイソトープ　講義と実習、p.176、㈱丸善 (1992) キーワード：原子力基本法，国際放射線防護委員会，放射線防護の三原則，放射線障害防止法，医療法施行規則，労働安全衛生法・電離放射線障害防止規則 The Atomic Energy Act，International Commission on Radiological Protection, Three principles of radiation protection, The Law of Prevention for Radiation Hazards, The Medical Service Law Enforcement Regulations，The Labor Security and Hygiene Law, The Ionization Radiation Injury Prevention Rule 分類コード：040107, 040207, 030604, 020205, 020408
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線源の種類→ 　　　　　　　　　　　　機関別↓		核燃料核原料物質	放射性医薬品（注１）	放射性同位元素（左記２欄のものを除く）	放射線発生装置（エックス線,電子線については百万電子ボルト以上）	エックス線発生装置（左記のものを除く）
国立事業所（５現業の事業所を除く）	医療施設	規制法医療法施行規則人事院規則	医療法施行規則人事院規則	障害防止法医療法施行規則人事院規則	障害防止法医療法施行規則人事院規則	医療法施行規則人事院規則
国立事業所（５現業の事業所を除く）	一般施設	規制法人事院規則		障害防止法人事院規則	障害防止法人事院規則	人事院規則
民間事業所公立事業所（国の５現業の事業所を含む）	医療施設	規制法医療法施行規則電離則	医療法施行規則電離則	障害防止法医療法施行規則電離則	障害防止法医療法施行規則電離則	医療法施行規則電離則
民間事業所公立事業所（国の５現業の事業所を含む）	一般施設（医薬品等製造所を除く）	規制法電離則		障害防止法電離則	障害防止法電離則	電離則