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作成: 2001/10/14 森 一幸

データ番号   :040241
RI施設の日常モニタリング業務
目的      :RI施設の日常モニタリング業務
放射線の種別  :ベータ線,ガンマ線,中性子

概要      :
 RI施設の日常モニタリング業務は管理区域内、管理区域境界、事業所境界でのモニタリングで構成され、放射線安全を図ることを目的とする。

詳細説明    :
 
環境管理は主にモニタリングによって行われる。図1、図2に示す。
 
「管理区域内でのモニタリング」
 
1. 空間線量測定は、電離箱式サーベイメーター、シンチレーション式サーベイメーターを用いて1月に1回の頻度で行う。測定箇所は毎回同じとし、線量率が最大となると思われる箇所を含め、使用者の行動ルートに沿って行う。測定点の高さは床面上1mの位置(サーベイメーターの紐を肩にかけた位置)である。検出部分をフード等の線量率が高いと想定される方向に向ける。測定器の時定数の関係で時間をかけて測定することで見落としがないように注意する。
 
2. 表面汚染密度測定は間接法(スミヤ法)及び直接法(サーベイメーター法)で、1月1回の頻度で行う。測定箇所は毎回同じとし、汚染が検出されると思われる箇所を含め、床面及び実験台上とする。特にフード前及び実験台前の床面は綿密に行う。
 
 スミヤ法での拭き取り面積は原則として100 cm2であるが、汚染を発見するために通常はより大きな範囲を拭き取る。採取したスミヤろ紙はベーター核種を使用している場合はGMカウンター、ガスフローカウンター、液体シンチレーションカウンターなどを用い、ガンマー核種を使用している場合はガンマーカウンターを用いて測定する。
 
 サーベイメーター法はGMサーベイメーターを用いて行う。その場合サーベイメーターを床面等の測定面にできる限り近づけて測定し汚染の発見に努める。汚染測定の結果、必要に応じて実験台のポリエチレン濾紙の交換や床面の除染等を行う。
 
3. 空気中濃度測定は3H・14C捕集装置及びダストサンプラーを用いて、1月に1回の頻度でサンプリングし測定評価する。測定箇所は毎回同じとし、原則として作業室毎に1カ所、各使用室で最も空気中濃度が高いと想定される(例えばフード前)箇所で行う。サンプリングの高さは、使用者の呼吸域と同じとする。サンプリング時間は検出感度限界値を考慮して決定するが通常は30分である。3Hは凝縮法によって、14Cは液体(エタノールアミン)捕集法によってサンプリングする。ダストはダスト用濾紙を用い、ヨウ素を使用している場合は活性炭濾紙を用いてサンプリングする。空気中濃度は計算によって評価することも可能である。
 
「管理区域境界でのモニタリング」
 
1. 線量率測定は電離箱式サーベーイメーター、シンチレーション式サーベーイメーターを用いて1月に1回の頻度で行う。測定箇所は毎回同じとし、管理区域境界のコンクリート壁外面、階上床面、階下天井面及び屋外排水・排気施設は、棚等の外側とする。特に貯蔵室、フード等線源の多く存在する場所に近いコンクリート壁外面は測定する。
 
2. 表面汚染密度測定は汚染検査室の出入口の床面を対象とし、スミヤ法サーベイメーター法によって行う。
 
3. 持ち出し物品の表面汚染密度測定はサーベイメーターを用いて行う。更にスミヤ法を用いて行うことが推奨される。
 
4. 人が退出する際にハンドフットクローズモニター又は適当なサーベイメーターで検査を行う。
 
「事業所境界でのモニタリング」
 
1. 線量当量率測定は電離箱式サーベイメータ、シンチレーション式サーベイメータを用いて1月に1回の頻度で行う。測定箇所は毎回同じとする。3ヶ月で250μSvを越えていないことを確認する必要があるため、感度の高いシンチレーション式サーベイメータでの測定は欠かせない。
 
2. 毎月の集積線量を監視するために積算型のTLD等を毎月一定箇所に設置したのち回収し測定する方法も行われる。
 
3. モニタリングポストを設置し、電離箱式またはシンチレーション式のモニタで連続監視している施設もある。
 
 環境管理においては、モニタリング記録の保存・管理が重要である。線量及び汚染密度測定に関する記録は、測定日時、測定箇所、測定者氏名、測定器の種類・型式、測定方法、結果を明示しなければならない。また、1年毎に帳簿類を閉鎖し、5年間保存しなければならない。尚、汚染があるか否かの判定及び汚染密度の計算は図3の通りとする。


図1 環境モニタリングの分類.(原論文2より引用。 )




図2 日常モニタリングの概要




図3 汚染検査方法と汚染密度の計算



原論文1 Data source 1:
(社)日本アイソトープ協会
放射線管理マニュアル2

原論文2 Data source 2:
大学等放射線施設協議会「大学等における放射線安全管理の要点」編集委員会
大学等放射線施設協議会
大学等における放射線安全管理の要点、平成10年9月2日発行、株式会社アドスリー

原論文3 Data source 3:
西澤邦秀
名古屋大学
放射線安全取扱の基礎、平成13年4月20日発行、名古屋大学出版会

キーワード:空間線量率測定、空間線量率、空間線量、表面汚染密度測定、空気中濃度測定、個人被ばく線量、スミヤテスト、直接測定、ハンドフットクローズモニター(HFCM)、汚染検査方法
dose rate measurement, surface contamination measurment, air contamination measurement, personal exposure, smear test, direct survey, hand foot cloth monitor, contamination check method
分類コード:040207

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