放射線施設の廃止に関する法的手続き

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作成： 2000/12/11　海老原寛データ番号　　　：040224 放射線施設の廃止に関する法的手続き目的　　　　　　：放射線施設を廃止する際の法的手続きに関する解説概要　　　　　　：　放射線施設の廃止には、事業を廃業するために事業所内の全施設を廃止する場合と、事業は継続したまま事業所内の一部の施設を廃止する場合がある。前者の場合は放射線障害防止法施行規則第25条により廃止届等を提出し、後者の場合は同第5条により変更許可申請書を提出する。詳細説明　　　　：　放射線障害防止法施行規則第1条の用語の定義によれば、放射線施設とは使用施設、詰替施設、廃棄物詰替施設、貯蔵施設、機器設置施設、廃棄物貯蔵施設又は廃棄施設をいう。原子炉施設や製錬施設及び医療用放射線施設は放射線施設とはいわない。放射線施設の廃止には二つの場合が考えられる。一つは事業所全体を廃止する場合と、事業は継続したまま事業所内の一部の施設を廃止する場合である。前者の場合は第25条により廃止届等を提出し、後者の場合は第5条により変更許可申請書を提出する。　　使用者が放射性同位元素及び放射線発生装置の使用の全てを廃止した場合、販売業者が販売の業を廃止した場合、賃貸業者が賃貸の業を廃止した場合、ならびに廃棄業者が廃棄の業を廃止した場合、その使用者・販売業者・賃貸業者及び廃棄業者(以下使用者等と略す)は放射線障害防止法施行規則第25条により、廃止の日から30日以内に総理府令様式第13によって許可証添えて廃止届を文部科学大臣に提出しなければならない。また使用者等が死亡した場合、及び法人である使用者等が法人を解散した場合、総理府令様式第14によって30日以内に死亡届または解散届を提出しなければならない。死亡又は解散の届出の時点で使用等の許可又は使用等の届出の効力は消滅し、これを相続人や破産管財人等が承継することは出来ない。同じ施設・設備を使って同様の事業を継続して行う場合でも、新規の許可申請書又は使用等の届出を必要とする。　　使用者等が法令に定められた事項に従わず、重大な法律違反をしたり、欠格条項に該当することになった場合には、文部科学大臣は放射線障害防止法第26条に基づき許可の取り消し等の行政処分を行う。行政処分により許可の取り消しを受けた者、使用等を廃止した者、死亡又は解散を届け出た者はその日から30日以内に廃止等に伴う措置を講じ、講じた措置について総理府令様式第15により報告書を提出しなければならない。使用者等が事業を継続したまま、事業所内の施設・設備の一部を廃止したり改造するときは、「軽微変更」及び「使用場所の一時的変更」の場合を除き、あらかじめ総理府令様式第4によって変更許可申請書を提出し、許可を受けなければならない。　　使用等の廃止に伴う措置については、放射線障害防止法施行規則第26条に以下の4項目が定められている。すなわち、①所有する放射性同位元素を他の使用者等に譲渡するか、又は廃棄すること、②放射性同位元素による汚染を除去すること、③放射性汚染物を廃棄業者に譲渡するか、又は廃棄すること、④放射線業務従事者の被曝線量当量の記録及び健康診断の記録は、文部科学大臣が指定する機関(現在は財団法人放射線影響協会)に引き渡すこと。　上記の①～③の措置を講ずるに際しては、「詰替えの基準」「保管の基準」「運搬の基準」及び「廃棄の基準」に従って行わなければならない。これらの措置が適当でないと認められるとき、文部科学大臣は放射線障害を防止するために必要な措置を講ずるよう「廃止に伴う措置命令」が発せられる。措置命令の内容としては、放射性同位元素による汚染の除去が不十分な場合、あるいは汚染物の廃棄の方法が不適当である場合が最も多い。　廃止に伴う措置命令を受けないような作業手順については施行規則第26条以外の条文はないので、使用者等の常識に従って処理する。例えば、まず廃止する施設内の設備、器具等を撤去、移動、廃棄した後、床、壁、天井における放射線量を測定し、汚染個所がある場合は拭き取り検査によって遊離性汚染であることが確認されれば除染する。固着性汚染のある個所は床材の剥離、天井材の撤去、壁材(塗料)の剥離等を行い、放射線量を測定する。それでも汚染が残っている場合は構造材(コンクリート)の「はつり」を行う。これらの作業は放射性の粉塵が発生するので、作業者の体内被曝防護には十分留意する。汚染除去の結果発生した廃棄物は廃棄の業の許可を持つ業者に引き渡す。参考資料１ Reference 1：放射線施設の遮蔽計算実務マニュアル原子力安全技術センター参考資料２ Reference 2：最新放射線障害防止法令集第一法規出版(株) 参考資料３ Reference 3：アイソトープ法令集(I)　放射線障害防止法関係法令日本アイソトープ協会参考資料４ Reference 4：改訂3版　アイソトープ便覧 (株）丸善参考資料５ Reference 5：放射線障害の防止に関する法令　概説と要点日本アイソトープ協会参考資料６ Reference 6：放射線概論石川　友清　編 (株)通商産業研究所参考資料７ Reference 7：図解原子力関係法令集鶴田　隆雄　編 (株）通商産業研究所参考資料８ Reference 8：公務員健康安全法令集（財）日本人事行政研究所参考資料９ Reference 9：放射線障害防止法に基づく安全管理ガイドブック原子力安全技術センターキーワード：法律、規則、放射線、障害、防護、労働者、施設、設置、廃止 law, regulation, radiation, hazard, protection, worker, facilities, establishment, discontinuance 分類コード：040107, 040207
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