BeによるRI中性子源

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作成： 1998/12/16 山内　良麿データ番号　　　：040123 BeによるRI中性子源目的　　　　　　：BeによるRI中性子源を用いた中性子の発生とその応用放射線の種別　　：中性子,軽イオン,重イオン放射線源　　　　：Po-α-Be, Ra-α-Be, Pu-α-Be, Am-α-Be (1.2x10⁶n/s) フルエンス（率）：1.1x10²/(s・cm²) 線量（率）　　　：4.5x10^-⁹Gy/s 利用施設名　　　：カリフォルニア大学(UCLA)核医学研究所、トリエステ大学物理学研究所照射条件　　　　：大気中応用分野　　　　：放射線計測、放射線物理、核医学概要　　　　　　：　放射性線源であるポロニウム、ラジウム、プルトニウム及びアメリシウム( ²¹⁰Po,²²⁶Ra, ²³⁹Pu, ²⁴¹Am)から放出されるα粒子を用いた ⁹Be(α,n)¹²C 反応による放射性中性子源に関し、中性子スペクトル、中性子発生率、ガンマ線発生率等の中性子源の特性について述べる。詳細説明　　　　：　²¹⁰Poや²²⁶Raなどのα粒子を出す放射性線源を用いた中性子源については、イリノイ大学のA.O.Hanson による概要が報告されている。放射性α線源による中性子の発生には⁹Beを用いる場合が中性子の収量が最も多く、次の核反応によって中性子を発生させる。　　　　　　⁹Be + α → ¹²C + n + 5.708MeV 　また、多体ブレイクアップ反応も起こって以下の過程によって低いエネルギーの中性子を生ずる。　　　　　　⁹Be + α → ⁸Be + α + n - 1.666MeV 　　　　　　　　　→3α + n - 1.572MeV ²¹⁰Poは半減期138.4dで、5.3MeVのα粒子を放出する。　図1にパラフィンフイルムまたは他の水素を含む物質を比例計数管の前面に置いた検出器で測定したPo-α-Beのエネルギースペクトルを示す。図1　The neutron energy spectrum from Po-α-Be as measured by Cochran and Henry(Co55) and by Medveczky(Me56).（原論文1より引用。　 Reproduced, with permission of the copyrighter and the authers, from Fast Neutron Physics Part 1, edited by J. B. Marion and J. L. Fowler, (Interscience Publishers, INC., New York 1960) Chap. I.A, p. 3-48, Figure 5 (Data source 1, pp.9), Copyright (1960).） ²²⁶Raは半減期1622yで4.777MeVのα線を出すが、これに加えて次々に起こる崩壊の過程で²¹⁴Poからの7.68MeVのα粒子を放出するので、Ra-α-Beの中性子スペクトルは、Po-α-Beより高いエネルギー範囲まで広がっている。　²³⁹Puは半減期24,390yで5.15MeVのα線を出す。高温でBeとPuBe₁₃合金をつくり、放射性中性子源として使用される。カリフォルニア大学ロスアンジェルス校(UCLA)核医学研究所のR.L.Lehmanは、感光乳剤を用いてエネルギー分解能250keVで、Pu-α-Beからの中性子スペクトルを測定した。　図2にPu-α-Be中性子スペクトルを示す。図2　Neutron spectrum of 80g PuBe source and ¹¹Ci PoBe source. Each spectrum was derived from 12500 tracks. Arrows indicate location of peaks found by special analysis of tracks. （原論文2より引用。　Reproduced from Nuclear Instruments and Methods, vol.60 (1968) 253-260, R.L.Lehman: The Origin of Neutron Groups in Be(α,n) Sources,Figure 1 (Data source 2, pp.254), Copyright (1968), with permission from Elsevier Science.） ²⁴¹Amα線源は半減期458yで、α線のエネルギーは5.49MeVである。トリエステ大学物理学研究所のF.De Guarrini らは直径22.4mm、高さ31mmの容器に密閉された500mCiのAm-α-Be中性子源(中性子放出率1.2x10⁶n/s)からの中性子スペクトルを原子核乾板と陽子反跳スペクトロメーターの二種類の異なった検出器で測定した。　図3にAm-α-Be中性子源のスペクトルを示す。このスペクトルで3.5, 4.7, 5.8, 7.6 および9.7MeV付近にピークが見られるが、これらのピークは²¹⁰Po、 ²²⁶Ra、 ²³⁹Pu ならびに²⁴¹Am中性子源にほぼ共通に現われている。中性子スペクトルの計算の結果3.5、 4.7と 5.8MeVのピークは⁹Be(α,n)¹²C反応における¹²Cの4.43MeV励起状態を経由する過程からの中性子の寄与、7.6と9.7MeVのピークは¹²Cの基底状態を経由する過程からの中性子の寄与によるものであることが分かった。図3　²⁴¹Am-⁹Be neutron spectrum observed with the nuclear emulsions. （原論文3より引用。　Reproduced from Nucl. Instr. Meth., vol.92 (1971) 277-284, F.D.Guarrini, R.Malaroda: Two Different Technique Measurements of the Neutron Spectrum of an Am-Be Source, Figure 2 (Data source 3, pp.280), Copyright (1971), with permission from Elsevier Science.）　以上、四種類の代表的なα線源を用いた⁹Be(α,n)¹²C反応による放射性中性子源では、どのα線源についても10⁶α粒子当たり約60個の中性子が得られ、その平均中性子エネルギーは4MeVである。これらの放射性中性子源からのγ線発生は、⁹Be(α,n)¹²C反応からは¹²Cの第一励起状態を経由する過程で4.43MeVのγ線が放射される。一方α線源自体のα崩壊やβ崩壊に伴うγ線が発生するが、特に²²⁶Raからのγ線発生が多く、Ra-α-Be全体で毎秒10⁶中性子当たりのγ線源の強さは60mrhm(milliroentgen per hour at one meter)になる。コメント　　　　：　放射性中性子源は、通常直径2cm、高さ3cm程度の容器に収納され、軽量で持ち運びが容易であり、加速器を用いることなく簡便に中性子を利用できる点で現在広く利用されている。これらの中で²²⁶Raは他の中性子源に比べてγ線の発生が多いので、その使用には注意が必要である。これらの中性子源から必然的に発生する⁹Be(α,n)¹²C反応からの4.43MeVのγ線は、数すくない高いエネルギーのγ線標準線源として利用価値が高いものである。原論文１ Data source 1： Radioactive Neutron Sources A.O.Hanson University of Illinois, Urbana, Illinois, USA Fast Neutron Physics Part 1, edited by J. B. Marion and J. L. Fowler, (Interscience Publishers, INC., New York 1960) Chap. I.A, p. 3-48 原論文２ Data source 2： The Origin of Neutron Groups in Be(α,n) Sources R.L.Lehman Laboratory of Nuclear Medicine and Radiation Biology, UCLA School of Medicine, Los Angeles, California 90024, U.S.A. Nuclear Instruments and Methods, vol.60 (1968) 253-260 原論文３ Data source 3： Two Different Technique Measurements of the Neutron Spectrum of an Am-Be Source F.D.Guarrini and R.Mararoda^*⁾ Istituto di Fisica, Universita di Trieste, Italy. *)Istituto Nazionale di Fisica Nucleare, Sezione di Trieste, Italy Nuclear Instruments and Methods, vol.92 (1971) 277-284 キーワード：ポロニウム、ラジウム、プルトニウム、アメリシウム、放射性α線源、中性子スペクトル、中性子発生率、放射性中性子源 polonium, radium, plutonium, americium, radioactive alpha source, neutron spectrum, neutron yield, radioactive neutron source 分類コード：040205, 040301, 040302
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