放射性医薬品を投与した患者のオムツ等の放射性廃棄物処理

「廃棄物処理及び清掃に関する法律」では、放射性物質および放射性物質により汚染された物は集荷対象から除外されています。そのため放射性医薬品を投与された患者のオムツ等の医療廃棄物から放射線が検出されますと産業廃棄物業者に引き取りを拒否されることになります。　放射線診療従事者は、核医学診療が十分安全であることは承知していますが、国民の中には「放射線」というだけで不安を感じる方がいることも事実です。　従って、医療における放射線管理に携わる我々は、核医学診療の有用性を示すとともに、日常診療の現場はもとより、廃棄物に至るまで放射線を安全に管理しているということを示すことで国民の理解を得る必要があります。　そこで関連学会等が中心となって放射性医薬品を投与された患者のオムツ等の取扱いマニュアルを作成しました。我々が放射線を適切に管理することにより、長い間の懸案である固体状放射性廃棄物のクリアランス(一定レベル以下であれば規制対象から外す)についても社会に訴えることができます。　つきましては、放射性医薬品の使用に係わる放射線管理に関して、下記の基本的事項を再確認するとともに、別添の「放射性医薬品を投与された患者のオムツ等の取扱いマニュアル」を参考にして、貴院において必要な措置を講じて下さい。
Ⅰ. 汚染防止の基本　核医学診療に携わる医療従事者は、放射性医薬品を投与された患者からの廃棄物は、放射能によって汚染されている可能性があることを認識する必要があります。感染性医療廃棄物に含まれるオムツ、尿パック、三方活栓等から放射線が検出されたことがありますので、核医学診療を行う医師は、関係者にそのことを認識させ、適切な対応を指示して下さい。
Ⅱ．放射線管理の基本　放射線管理の基本は、測定による確認です。「病院から出された医療廃棄物からは放射線が検出されない」ことを示すために、放射線の有無をきちんと測定して下さい。測定結果を記録し、その記録を2年間保存しておいて下さい。
Ⅲ. 放射線安全管理システムの構築　施設内に適切な放射線管理組織を置き、放射性医薬品を投与された患者のオムツ等の管理を含め、核医学診療の安全確保に必要な事項を定めて、確実に実施して下さい。
Ⅳ. 核医学診療の安全性　１年間継続して、オムツなど患者から出される廃棄物を取り扱ったとしても、医療廃棄物からの放射線被ばくはごく徴量で、看護師など職員の安全性は担保されており、たとえ妊娠していたとしても健康への心配は全くありません。また、このことによる一般公衆への被ばくも無視できる線量です。

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作成： 2002/01/20 遠藤　啓吾データ番号　　　：030218 放射性医薬品を投与した患者のオムツ等の放射性廃棄物処理目的　　　　　　：核医学検査、治療後の患者のオムツ等の放射性廃棄物の処理方法について紹介放射線の種別　　：ガンマ線放射線源　　　　：核医学、放射性同位元素利用施設名　　　：核医学診療施設応用分野　　　　：核医学診断、RI内用療法、核医学治療、放射線治療概要　　　　　　：　最近、さまざまな廃棄物の中から放射能を帯びた物品の混入が判明する事例が連続して発生しており、社会的にも放射線に関連する不安が高まっている。我が国の事例はいずれも人の健康に影響を及ぼすレベルのものはなかったが、医療廃棄物及び放射性廃棄物の適正処理に関し、社会は以前にも増して関心を持つようになっている。日常診療の現場はもとより、廃棄物に至るまで放射線を安全に管理しているということを示すことで国民の理解を得る必要がある。　　放射性医薬品を投与された患者から出される廃棄物は、放射性物質によって汚染されている可能性がある。感染性医療廃棄物に含まれるオムツ、尿パック、三方活栓等から放射線が検出されたことがあるので、関係学会から出されているガイドラインに従って「病院から出された医療廃棄物からは放射線が検出されない」ようにしなければならない。詳細説明　　　　：　　入院患者のオムツや尿パックは感染性医療廃棄物として処理される。この医療廃棄物の中には、核医学診療として放射性医薬品を投与した患者の排泄物が付着した汚物やオムツ等が混入する可能性がある。これらのオムツ等には糞尿中に放射性物質が含まれており、放射線測定器で測定することにより、自然放射線レベルと比べて有意に高い放射線が検出される場合がある。検出される放射線レベルは投与した放射性医薬品が短半減期核種であれば時間経過とともに急速に減衰するが、放射線が検出される状況は核種や数量及び廃棄物容量などによって異なる。なお核医学診療で用いる放射性医薬品の取り扱いは、放射線管理区域内の診療用放射性同位元素使用室などで使用されることが厳しく規制されている。　　しかし、患者に投与した放射性医薬品は患者の体内に大半が残留する状態でも、核医学検査が終了すると、患者は診療用放射性同位元素使用室などの放射線管理区域から一般区域に退出する。患者の体内に残留した放射性核種が、サーベイメータなどの検出限界以下にまで減衰するには、通常は数日から数週間が必要である。その間の入院患者から発生する廃棄物は病院で処理する必要がある。また患者の体内に残留した放射性核種が自然放射能量のレベル近くまで、患者を放射線管理区域に留めて置くことは極めて困難である。そのため放射性医薬品を投与した核医学検査患者を長期間にわたり閉じこめて置くことは、古くから我が国を含め諸外国でも実施されていない。　　法的には「医療法施行規制の一部を改正する省令の施行について」（平成13年3月12日付医薬発第188号　厚生労働省医薬局長通知）において「放射性同位元素を投与された患者に伴う個体状の汚染物については、適切な放射線測定器を用いて測定することにより、放射線管理に関する適切な取り扱いを行うこと。」と記されている。核医学検査を行う病院では施設内に適切な放射線管理組織を置き、放射性医薬品を投与された患者のオムツ等の管理を含め、核医学診療の安全確保に必要な事項を定めて、確実に実施しなければならない。表1　放射性医薬品を投与された患者のオムツ等の取り扱いについて（核医学診療を行う医師等のためのガイドライン）（抜粋）（社）日本医学放射線学会など　「廃棄物処理及び清掃に関する法律」では、放射性物質および放射性物質により汚染された物は集荷対象から除外されています。そのため放射性医薬品を投与された患者のオムツ等の医療廃棄物から放射線が検出されますと産業廃棄物業者に引き取りを拒否されることになります。　放射線診療従事者は、核医学診療が十分安全であることは承知していますが、国民の中には「放射線」というだけで不安を感じる方がいることも事実です。　従って、医療における放射線管理に携わる我々は、核医学診療の有用性を示すとともに、日常診療の現場はもとより、廃棄物に至るまで放射線を安全に管理しているということを示すことで国民の理解を得る必要があります。　そこで関連学会等が中心となって放射性医薬品を投与された患者のオムツ等の取扱いマニュアルを作成しました。我々が放射線を適切に管理することにより、長い間の懸案である固体状放射性廃棄物のクリアランス(一定レベル以下であれば規制対象から外す)についても社会に訴えることができます。　つきましては、放射性医薬品の使用に係わる放射線管理に関して、下記の基本的事項を再確認するとともに、別添の「放射性医薬品を投与された患者のオムツ等の取扱いマニュアル」を参考にして、貴院において必要な措置を講じて下さい。 Ⅰ. 汚染防止の基本　核医学診療に携わる医療従事者は、放射性医薬品を投与された患者からの廃棄物は、放射能によって汚染されている可能性があることを認識する必要があります。感染性医療廃棄物に含まれるオムツ、尿パック、三方活栓等から放射線が検出されたことがありますので、核医学診療を行う医師は、関係者にそのことを認識させ、適切な対応を指示して下さい。 Ⅱ．放射線管理の基本　放射線管理の基本は、測定による確認です。「病院から出された医療廃棄物からは放射線が検出されない」ことを示すために、放射線の有無をきちんと測定して下さい。測定結果を記録し、その記録を2年間保存しておいて下さい。 Ⅲ. 放射線安全管理システムの構築　施設内に適切な放射線管理組織を置き、放射性医薬品を投与された患者のオムツ等の管理を含め、核医学診療の安全確保に必要な事項を定めて、確実に実施して下さい。 Ⅳ. 核医学診療の安全性　１年間継続して、オムツなど患者から出される廃棄物を取り扱ったとしても、医療廃棄物からの放射線被ばくはごく徴量で、看護師など職員の安全性は担保されており、たとえ妊娠していたとしても健康への心配は全くありません。また、このことによる一般公衆への被ばくも無視できる線量です。コメント　　　　：　日本核医学技術学会のホ－ムペ－ジ　http://www.mmjp.or.jp/j-SNMT/には「廃棄物管理Q＆A」が設けられており、そこでは具体的な質問と回答が分かりやすく書かれている。　なお核医学で使われる放射性医薬品の半減期は短く、RI量は少ない。従って１年間継続して、オムツなど患者から出される廃棄物を取り扱ったとしても、医療廃棄物からの放射線被ばくはごく微量で、看護師など職員の安全性は担保されており、たとえ妊娠していたとしても健康への心配は全くない。原論文１ Data source 1：医療廃棄物から放射線が検出される問題について菊地　透自治医科大学RIセンター医療放射線防護NEWSLETTER 29:43-45, 2000. キーワード：核医学,nuclear medicine,オムツ,diaper,放射性廃棄物,radioactive waste,医療廃棄物,medical waste,放射性医薬品,radiopharmaceutical agent. 分類コード：030301,030302,030501,030502,030503
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