ステップアンドシュート方式による強度変調放射線治療

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作成： 2000/12/10 秋山芳久データ番号　　　：030195 ステップアンドシュート方式による強度変調放射線治療目的　　　　　　：ステップアンドシュート方式による強度変調放射線治療について、多葉リーフコリメータの動きを説明する。放射線の種別　　：エックス線放射線源　　　　：高エネルギー直線加速器応用分野　　　　：医学、治療概要　　　　　　：　現在、一般的に行われている放射線治療の外部照射では照射野内の線量強度は一定であるか、場合によってはウェッジを用いて線量強度に単調な勾配をつける程度である。これに対して強度変調放射線治療(IMRT、Intensity Modulated Radiation Therapy)では照射野内の線量強度をコンピュータでの計算結果に従って強弱をつける(変調)ことが必要になってくる。　このことを実現するための方法としていくつか考えられるが、スライディングウィンドウとステップアンドシュートが代表的であり、いずれも多葉リーフコリメータ(MLC、Multi Leaf-Collimator)を用いる。ここではステップアンドシュートについて説明する。詳細説明　　　　：　ステップアンドシュート方式　スライディングウィンドウ方式はリーフのペアが通過する差を利用して線量強度に変化をつけるわけであるが、いずれにせよ照射中はいつもビームがオンの状態である。これにたいしステップアンドシュート方式はビームのオン、オフを繰り返し、オフの時にリーフを動かす。図1　ステップアンドシュート　(1)から(6)の手順で照射しても図の一番上のビームプロファイルは得られる。ただし、リーフの動きに無駄がある。1から6の手順で照射する。（原論文1より引用）　図1の上のビームプロファイルを得ようとした場合、考えやすくするためにピーク①とピーク②に分け、ピーク①をカバーするようにまず最初にリーフaの右端は(1)a、リーフbの左端は(1)bで照射をし、次にビームをオフにしてリーフの両端がそれぞれ(2)a、(2)bになるように移動させて照射する。これを(6)の手順まで行うことによによりビームプロファイルを得ることができる。ただし、この手順の照射ではリーフ(この場合は左のリ-フ)が左右に動くことにより、動きに無駄がある。これを両方のリーフ共に一定の方向に動くようにした手順が下の図である。これは①「ビームプロファイルはゼロで始まり、ゼロで終わるため、ビームプロファイル上で1単位あがれば、どこかで1単位下がっている」。②「1単位あがっているところと1単位下がっているところをリーフのペアで挟み照射するわけであるがどの組み合わせで挟んでもすべてを照射すれば得たいビームプロファイルになる」。ということにもとづいている。そこで、1番目に1単位あがっているところと、1番目に1単位下がっているところを両方のリーフで挟んで照射し、次にビームをオフにして2番目に1単位あがっているところと、2番目に1単位下がっているところを両方のリーフで挟んで照射する。これを次々に行う。これにより照射を完了する。図1はビームプロファイルが簡単で1単位がかなり荒いが、ビームプロファイルが複雑になっていても、また、1単位を細かくしてもこのことは成り立つ。この方法では両方のリーフとも一定の方向に動くため無駄がなく、治療時間を短くできるし、リーフの動きに対し機械的な負担が少なくなるとも思われる。実際のステップアンドシュートのリーフの動きはこれである。図2　多葉リーフコリメータによる線量強度の変調　多葉リーフコリメータを用いて照射野の形を数十以上(図のa)とb)はそのうちの2つ、緑の部分が照射野)変えて照射する。図のc)はこれによる線量強度。照射野内の線量強度は一定でなく変調されている。　以上はリーフの一つのペアの動きを説明したものであるが、数十個のペア(多葉リ-フコリメータ)を用い、照射野の形を変えて照射することにより2次元的に強度変調できる。図3　ファントムを用いた人体内の線量分布　5方向からの照射でがんの部位は高線量に、正常組織は低線量にすることができる。　多方向から2次元的に強度変調された照射を行うことにより、病気を治すのにもっとも良い線量分布を体内で3次元的に作りだすことが可能となる。コメント　　　　：　強度変調放射線治療を実現させるための代表的な方法としてスライディングウィンドウとステップアンドシュートの方式がある。スライディングウィンドウと比較してステップアンドシュートは照射に長い時間が必要である。しかし、治療計画どうりに多葉リーフコリメータが動いて、放射線が照射されているかどうかを確認する検証はスライディングウィンドウ方式による照射よりは簡単であると言われる。原論文１ Data source 1： intensity modulated radiation therapy(IMRT)ーマルチリーフコリメータの動きを中心にー秋山芳久、成田雄一郎、幡野和男千葉県がんセンター日本放射線技術学会雑誌、56(1)、pp17-21、2000 参考資料１ Reference 1： Comparison of Three-Dimensional Conformal Radiation Therapy and Intensity Modulated Radiation Therapy Systems. Lynn J.Verhey Department of Radiation Oncology, University of California, San Francisco Seminars in Radiation Oncology, 9(1), pp78-98, 1999 参考資料２ Reference 2： Intensity modulation with the “step and shoot” technique using a commercial MLC: a planning study. Multileaf collimator. Keller-Reichenbecher MA, Bortfeld T, Levegrun S, Stein J, Preiser K, Schlegel W Deutsches Krebsforschungszentrum (DKFZ), Department of Medical Physics, Heidelberg, Germany. Int J Radiat Oncol Biol Phys, 45(5):pp1315-24, 1999 キーワード：強度変調放射線治療、Intensity Modulated Radiation Therapy、放射線治療、radiation therapy、ステップアンドシュート、step and shoot、治療計画、treatment planning、多葉リーフコリメータ、multi leaf-collimator、くさびフィルター、wedge filter、至適線量、optimum dose、最適化、optimization 分類コード：030201,030402,030703
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