放射線利用技術データベースのメインページへ

作成: 2002/03/12 成田 雄一郎

データ番号   :030194
IMRTの臨床適用(その4、治療計画)
目的      :IMRT治療計画とそのソフトウェアの違いによる特性を紹介する
放射線の種別  :エックス線
放射線源    :リニアック
利用施設名   :千葉県がんセンター、京都大学、他
応用分野    :医学、放射線治療、医療物理、医療工学、放射線物理

概要      :
IMRTが可能になっている理由の一つが逆方向治療計画(Inverse Planning)の登場である。IMRTの適用が最も期待されている前立腺がん及び頭頚部がんを例に治療計画の流れについての手順とそのソフトウェア依存性を紹介する。また計画結果のソフトウェア依存性に関して使用経験のあるFOCUS(CMS社)とCORVUS(Peacock社)について比較したので紹介する。

詳細説明    :
◆逆方向治療計画-Inverse planning system
核医学の分野がそうであったように、放射線治療においても医療を支えるハード・ソフトウェアの目覚ましい進歩が伺える。治療計画における飛躍的なアルゴリズムの変貌は、核医学における画像再構成法の変貌を思わせる。従来核医学における画像再構成法はFBP(filtered backprojection)法が主流であった。投影画像が与えられると再構成画像が一意的に決定されるのがFBP法であり、これは概念的に放射線治療計画におけるClarkson法による線量分布計算に似ている。画像再構成法はその後最尤推定期待値最大化法(ML-EM, maximum likelihood expectation maximization)が臨床適用される。ML-EM法はRI分布画像を仮定した時に測定された投影画像が観測される確率が最大となるRI分布画像が最適解であるとし、繰り返し計算と確率的手法に基づきRI分布画像を最適化していく方法である。つまりこれは治療計画でいうところの逆方向治療計画法に相当するのである。両者の共通点は、最適解を導き出すこと、コンピュータにより最適計算が行なわれること、確率的手法であること、繰り返し計算によること等が挙げられる。

コメント    :
IMRT治療計画の最終目標は如何にして標的容積のみに線量を集中することができるかである。ただし最適化した線量分布が臨床上妥当かどうかは別問題である。つまり計画で設定したマージンが実際の治療で使用する固定具の精度に比べて十分かどうか、また他の要因でアイソセンターがずれることはないか、それらが治療計画で十分に考慮されているかを評価する必要があるであろう。コンピュータ上で簡単に実現できてしまう線量集中だが、IMRTは治療台で行なわれることを忘れてはならない。

原論文1 Data source 1:
HELIOS INVERSE PLANNING
VARIAN medical systems
VARIANパンフレット、 2000

キーワード:強度変調放射線治療,Intensity modulated radiation therapy, 逆方向治療計画,Inverse Planning, 多分割絞りIMRT, MLC-IMRT, 前立腺がん,Prostate cancer, 頭頚部腫瘍,Head and Neck cancer, 線量原体性,Dose Conformity, 線量制限,Dose Constraint, 計画標的容積,Planning Target Volume, リスク臓器, Organ at risk, 標的マージン,Planning margin
分類コード:030201, 030402, 030703

放射線利用技術データベースのメインページへ