乳房用X線装置

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作成： 1998/02/10 中瀬　泰然データ番号　　　：030088 乳房用X線装置目的　　　　　　：乳房専用X線診断装置の特徴とその利用価値の紹介放射線の種別　　：エックス線放射線源　　　　：X線管応用分野　　　　：医学、診断概要　　　　　　：　乳癌を早期に発見するにはX線検査法が最も有効といわれている。乳房は軟部組織で組織間のX線吸収差が極めて小さいために、低エネルギーX線を発生するモリブデンをターゲット材とした装置が用いられる。乳房用X線装置の特徴は、被験者間の乳房の大きさや乳腺密度の違いがあり、微小な石灰化領域や腫瘤を検出する必要があることなどから各種の機構が組み込まれて、コンピュータ支援診断行われていることである。詳細説明　　　　：　女性の乳癌による死亡率は、若年化の傾向にあると言われている。これは日本人の食生活が西欧型になってきたためと指摘されている。1990年の罹病率は1975年の2倍になり、このまま進むと2000年には女性の癌疾患の中で乳癌が最も多い癌になるとみられている。　乳癌の発見には、触診、超音波、組織生検があるが、X線検査法であるマンモグラフィが現在、乳癌の早期発見にもっとも有効な手段と考えられている。乳房は軟部組織で組織間のX線吸収差が極めて小さく、その微細構造を描出するためには有効なX線エネルギー域にX線強度の大きい特性X線を持ち、かつ低エネルギーX線を発生するモリブデンがターゲット材として用いられる。図1に乳房用X線診断装置を示す。図1aは、その外観であり、1bは、そこで使用されているX線管の外観を示す。図1　乳房用X線診断装置　　a)外観　　b)X線管　（原論文1より引用）　乳房用X線装置の特徴は、被験者間の乳房の大きさや乳腺密度の違いが大きいことや25～250μmの微小な石灰化領域、腫瘤を検出する必要があることなどから、これらに対応する各種の機構が組み込まれていることである。また、(社)日本医学放射線学会は乳房撮影ガイドラインを制定している。　X線管の電圧は、乳房の大きさや乳腺組織の密度に応じて設定すること、診断しやすい画像を得るために撮影の方法や方向に注意することなどが必要とされ、撮影方法や撮影方向などが示されている。撮影方法には、次の４種がある。 1.圧迫法：円錐形の乳房全体が均一な厚さになるように圧迫する。軟X線の有効利用ができ、散乱線を低減させてコントラストのよい像が得られる。 2.グリッド法：散乱線を除去するために、グリッド比4/1-5/1、グリッド密度27-37本/cm程度を用いる。 3.圧迫スポット法：必要な部分を圧迫して、異常部位を描出しやすくする。 4.拡大撮影：微小石灰化部を描出するために拡大する。　撮影方向を図2に示す。図2　X線検査における乳房撮影方向　　a)撮影方向の概要(原論文2より引用),　b)Cranio-Caudal, c)Medio-Lateral-Oblique ,d)Medio-Lateral(以上原論文1より引用) 　　図2aは、撮影方向の概要を示し、2bは、頭尾方向(Cranio-Caudal)で、乳房の内側部と中央部の描出に適する。X線は頭尾(上下)方向、胸壁に接線方向で乳房中心へ垂直に入射する。2cは、内外側斜方向(Medio-Latral-Oblique)で乳腺組織の全体を捉えるのに適する。2dは、内外側方向(Medio-Lateral)で乳房の側面像をより詳細に描出したり、穿刺などの処理に適する。X線は乳房と胸壁境界面に垂直に内外方向に入射する。　上述のような、微小石灰化部等を明確に描出するためにコンピュータ支援診断(CAD)が行われている。マンモグラムの例を図3に示す。図3　症例マンモグラム　　a)浸潤性乳管癌、b)乳管内乳頭腫　（原論文3より引用）　図3aは左乳房にしこりを感じたために検診した結果で、不整形腫瘤陰影をみとめ、かつ大小不同の集族する石灰化を伴い、腫瘤外にも鋳型状の微小石灰化を認める。病理所見からは浸潤性乳管癌である。3bは乳頭直下に類円形の腫瘤を認める、辺縁は平滑であるが血管壁の石灰化を認める。病理所見では、乳管内乳頭腫である。コメント　　　　：　乳癌診断における画像診断はかつては補助診断法と考えられていたが、乳房用X線装置および記録系の進歩により乳房撮影は、超音波検査とともに必要不可欠の検査法となった。原論文１ Data source 1：乳房用X線診断装置-Mammorex 東芝メディカル㈱パンフレット原論文２ Data source 2：４．軟部組織段床嘉晴大阪大学医学部附属病院放射線部診療放射線技術　上巻(改訂第9版)、監修:立入　弘、稲邑　清也、編集:山下　一也、速水　昭宗、P.166-168,　南江堂,1996 原論文３ Data source 3：マンモグラフィ装置MGS-100Aの使用経験と臨床評価長谷川正和、寺田　央大阪警察病院放射線科メディカルレビュー(東芝) 65号、21(2), p29-35, 1997 参考資料１ Reference 1：乳房撮影ガイドライン (社)日本医学放射線学会 1995.3.発行キーワード：マンモグラフィ、mammography, X線照射、X-ray irradiation, モリブデン陽極、molybdenum cathode, 乳癌、breast cancer, 微少石灰化、micro calcinosis, 分類コード：030401,030103
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