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作成: 1999/1/12 光菅 裕治

データ番号   :030084
頭部X線規格撮影法
目的      :頭部X線規格撮影法についての概説
放射線の種別  :エックス線
放射線源    :X線管
応用分野    :医学、歯学、診断

概要      :
 歯科矯正治療や口腔外科的治療において、顔面の左右対称性、咬合状態を分析するのに頭部X線規格撮影は不可欠である。この撮影では、治療計画や同一患者の経過観察を行うために再現性のある特殊なX線装置を使用する。

詳細説明    :
 頭部X線規格撮影は、頭部、顔貌の形態計測や発育などの診査に利用されており、歯並びの改善を行う歯科矯正科や顎顔面変形症で外科的処置を行う口腔外科などで広く用いられている。この撮影は、名称が示すように規格撮影であり、同一患者の経過を追うことを目的としている。同じ幾何学的条件で撮影できるように、専用のX線撮影装置が使用される。図1に頭部X線規格撮影装置を示す。


図1  頭部X線規格撮影装置 a)全景 b)頭部固定装置

 この装置は主に2つの部分からできている。各施設で多少異なるが、X線管焦点・フィルム間距離が一定の165僂妨把蠅気譴殖慇装置と患者の頭部を再現性よく位置付けるための頭部固定装置から成っている。患者の頭部は、左右側の外耳孔にイヤーロッド(耳棹)を挿入して固定する。イヤーロッドは中空の棒でできており、その中心にスチールボールが埋め込んである。X線の中心線はこのイヤーロッドの中心つまり外耳孔を通ることになる。患者の正中矢状面(顔の真ん中の面)とフィルムの距離は15僂妨把蠅気譴討い襦これにより、1.1倍に拡大された側貌X線規格写真が得られる。この装置を使用することで、術者が異なっても常に同じ写真を得ることができる。
 この装置を用いた撮影法にはこれ以外に二種類ある。X線を頭部後方から前方向へ照射する正貌(正面像)、オトガイ下方から頭頂方向へ照射する軸方向像である。また、側貌の形態計測時には硬組織(頭蓋骨)像とともに顔面軟組織の輪郭が明確に分かるようにする必要がある。この軟組織写真を硬組織と同時に撮るには、焦点側またはフィルム側に特殊な形態の楔型フィルターを設置するなどによりX線量を減弱させることが必要になる。その結果、一枚の写真で硬組織と軟組織を同時に見ることができる。最近では、デジタルX線画像診断システムを用いてコンピュータで画像処理を行うことにより、フィルターを使用しないでも容易に一枚の画像上で硬、軟組織を同時に見ることができる。
 これらの写真の上にトレーシングペーパーを置き、各種構造物をトレースした後、計測ポイント間の距離や角度を測定して分析すると、顔面の左右対称性や咬合状態を容易に判定する。また、術前・術後の写真を比較すると顎骨や咬合状態の変化などがわかる。図2に矯正治療前(a)の側貌X線写真とそのトレース(b)を、図3に治療後のX線写真(a)とそのトレース(b)を示す。


図2  a)矯正治療前の側貌X線写真 b)矯正治療前の側貌X線写真のトレース



図3  a)矯正治療後の側貌X線写真 b)矯正治療後の側貌X線写真のトレース

 図2で示す治療前の画像では、下顎の前歯が上顎の前歯を被蓋しており、通常とは反対の咬合状態にある。これを矯正治療することにより、図3で示すように正常な咬合状態に改善されたことがわかる。

コメント    :
 一般に、矯正治療のためX線診査では、頭部X線規格写真の側貌の硬・軟組織と正貌、全部の歯を撮影した口内法X線写真、パノラマX線写真が用いられる。また、矯正治療を希望する患者は多くが成長期にあり、手根骨のX線写真を用いて骨年齢などを分析し、治療方針を決める資料としている。

キーワード:頭部X線規格撮影,cephalometric radiography,歯科矯正治療,orthodontic treatment,頭部固定装置,cephalostat,イヤーロッド,ear rod,正貌,frontal view,側貌,lateral view,軸位,axial view
分類コード:030103、030401

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