歯科口内法X線撮影

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作成： 1999/01/11 光菅　裕治データ番号　　　：030083 歯科口内法X線撮影目的　　　　　　：歯科口内法X線撮影についての概説放射線の種別　　：エックス線放射線源　　　　：X線管応用分野　　　　：医学、歯学、診断概要　　　　　　：　歯科領域で最も活用されるX線撮影法は口内法である。それは、カリエス(う蝕)、歯周病、歯根部病変などの歯科疾患の診断に適した鮮明なX線写真が得られる。口内法には標準的撮影法、咬合法、咬翼法などがあるが、診断目的に応じて使い分けられる。詳細説明　　　　：　歯科口内法X線撮影は、歯科用X線フィルムを口腔内に挿入し、顔面からX線を照射して写真を得る撮影法である。口内法にはいわゆるデンタル撮影法と呼ばれる標準的な方法の他に、咬合法、咬翼法などがあり、診断目的に応じて使い分けられる。　 1.　デンタル撮影装置　デンタル撮影装置の基本的な構造は一般医科のものと変わらないが、小型軽量のヘッド(X線発生装置)が細いアームで保持されている。図1にデンタル撮影装置を示す。図1　デンタル撮影装置　図１の撮影装置はアームを壁に取り付けた壁掛式である。アームの働きにより、術者はヘッドを容易に動かすことが可能になり、患者の口腔内のフィルムに対して正確に照準することができる。ヘッド前方に付いているのは指示用コーンと呼ばれるもので、照準の目安になるとともに、焦点-皮膚間距離を一定に保つ。図中、椅子に固定されているのは口内法撮影練習用ファントムである。壁掛式以外に、アームを床に固定した支柱に取り付ける床固定式や装置全体をキャスターに乗せた移動式がある。　 2.　標準的撮影法　標準的な撮影法には平行法と二等分法がある。両者とも、主に歯科用標準型フィルム(31x41㎜)を使用し、歯が実際の長さと等しくなるように、かつ隣接歯と重複しないように撮影する方法である。平行法では、フィルムホルダー(フィルム把持器)という撮影補助具を用いてフィルムを歯軸に対して平行に位置付け、これにX線ビームを直角に照射する。二等分法では、フィルムを歯と接触させて固定し、歯軸とフィルムとのなす角度の二等分線に対して直角にX線ビームを照射する。これらの撮影法にはそれぞれ、撮影部位によってはフィルムを正確に位置付けるのが困難であるとか、像に歪みが生じやすいなどの欠点がある。日常の臨床においては、患者の口腔状態に応じて両者を使い分け、カリエス(う蝕)、歯周病、歯根部病変などの診断や歯根長の測定などを行う。平行法あるいは二等分法で口腔内の歯列全体の撮影を行い、診断することもある。その場合、各施設により多少異なるが、標準型フィルム10枚で撮影する方法(10枚法)と14枚で撮影する方法(14枚法)が用いられる。図2に14枚法で得た歯列全体のX線写真を示す。図2　14枚法による歯列全体のX線写真 3.　咬合法撮影および咬翼法撮影　標準的な撮影法では、病巣が大きく多数歯にまたがる場合や歯の下方にある場合には全体が写らない。そのような時に行う撮影法として咬合法がある。咬合法撮影は、咬合型フィルム(57x76㎜)をできるだけ口腔の奥に挿入し、軽く咬合させて撮影する方法である。この撮影法には、嚢胞や埋伏歯などの上顎の疾患に対して用いられる二等分法と唾石、骨折など下顎に発生した疾患を対象とする歯軸投影法がある。咬翼法撮影は、標準型や小児用フィルム(22x35㎜)のX線照射側にウイング(翼)を付けたフィルムを用い、このウイングの部分を撮影部位の上下の歯で咬ませて撮影する方法である。この撮影は、肉眼では確認の難しい臼歯部の隣接面カリエスの有無や、歯槽骨頂部の吸収状態、充填物、インレイなど補綴物の適合状態などを知る場合に利用される。咬合法および咬翼法で撮影した写真を図3に示す。図3　咬合法撮影および咬翼法撮影によるX線写真　a)咬合型二等分法のX線写真　b)咬合型歯軸投影法のX線写真　c)左右側の咬翼法のX線写真　a)は上顎骨に発生した嚢胞の咬合型二等分法によるX線写真を、b)は唾石の咬合型歯軸投影法によるX線写真を、c)は咬翼法で得た左右側のX線写真である。コメント　　　　：　最近、X線フィルムの代わりにイメージングプレートやCCDセンサーを用いるデジタル口内法X線画像診断システムが普及しつつある。デジタルシステムを利用する場合でも、基本的な撮影法は同じである。キーワード：口内法X線撮影,intra-oral radiography,平行法,paralleling technique,二等分法,bisecting technique,咬合法,occlusal radiography,咬翼法,bite-wing radiography,デンタル撮影装置,dental x-ray machine 分類コード：030103、030401
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