乳房温存療法

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作成： 99/01/18 幡野　和男データ番号　　　：030053 乳房温存療法目的　　　　　　：乳房温存療法の紹介放射線の種別　　：エックス線放射線源　　　　：X線管応用分野　　　　：医学、治療概要　　　　　　：　乳癌は以前は進行癌が多く、治療法としては乳房切断術が主流でった。最近になり、乳癌検診等で比較的早期に発見されるようになった為、乳房切断せずに乳房を残す治療法が行われるようになってきた。これがいわゆる乳房温存術と言われるものである。腫瘍のみを外科的に切除し、その後で放射線治療を行うことによりこれまでの手術成績と同等の治療成績が得られることが判明した結果である。詳細説明　　　　：　乳房温存術はわが国において今でこそ、一般的に知られるようになった治療法であるが、わが国での乳房温存術の歴史は長い施設でもまだ10数年しかない。欧米においては20年以上の歴史があり、その歴史の中で、さまざまな問題点がでてきて、全ての乳癌に適応できるのではなく、限定されることがわかってきた。　先ず、乳房温存術の対象となる腫瘍自体の大きさは、欧米においては4-5cm以内、わが国においては3cm以内となっている。これは欧米人と日本人の乳房の大きさの違いによる。大きい乳房であればある程度大きな腫瘍を切除しても、あまり美容的な問題はないが、一般的に小さな乳房の日本人では、あまり大きく切除してしまうと、美容的に満足いく結果が得られないことによる。この腫瘍の大きさが上述の適応範囲内であったとしても、次に示すような場合には適応し難い。すなわち、 ①がんが乳腺内に多発性に認められる場合。 ②マンモグラフィーでび慢性に小さな石灰化が見られる場合。 ③切除した後で、がんが切り口に残っている場合。 ④妊娠中。 ⑤膠原病の患者。 ⑥乳房の大きさに比べてがんの大きさが大きな場合。 ⑦乳頭直下のがん。　これらの基準は絶対的なものではなく、例えば、①の場合には手術後に放射線治療を行えば、顕微鏡的に残っているがんでも制御可能であるといわれているが、まだ過渡期であり検討が進められている。④の妊娠中の患者の場合でも、妊娠中は手術のみ行い、出産後に放射線を照射することも可能である。さらに、⑤が問題となる理由は、膠原病の患者では放射線治療による障害が起こりやすいということによる。すなわち、治療後に乳房が通常の患者よりも固くなったり、潰瘍を作りやすくなったりするためである。⑦については最近、必ずしも適応外とは言えなくなってきている。　乳房温存療法は10年、20年と長期間にわたって経過観察を必要とする治療法であるため、今後その治療法に対する考え方は変化していく可能性はある。実際に乳房温存療法がどのように行われるのか次に説明する。　上記の適応が満たされることを確認して、外科医により先ずがん組織が切除される。このときに体に残してくる乳腺にがんが残っているかどうかが大きな問題となるので、術中細胞診が行われる。これによりがんが残っている場合には、追加切除を行うか、あとを放射線治療に任す場合がある。これは施設によって違うが、いずれにしても、残存がんの有無を確認することが最も重要な課題である。切除したあとで、がんがあった部位に金属性のクリップをつけ、切除断端にがんが残っていた場合にはこのクリップを目印として、照射を追加する。従ってこのクリップ付けは、術後の放射線治療での非常に重要ステップとなる。　通常は、術後3週間前後で放射線治療が開始される。これまでに患者が術後のリハビリにがんばる必要がある。それは、術後どうしても手術を受けた方の腕が上がり難くなるが、それを防ぐことが要求される。そのままにしおくと患部を照射する際に腕が邪魔になり、余計な部位にも放射線が当る可能性があることによる。そこでリハビリが、不十分な時には治療が延期される。　放射線治療は通常、背臥位(仰向け)で行う。放射線は接線照射といわれる方法で行い、患側乳房を内上方と外下方からとの2方向から狙って照射する。通常は毎日、月曜から金曜まで週5回で計5週間46-50Gy(グレイ)の線量を照射する。施設によっては週4回という場合もある。　副作用としては、皮膚炎が主体で照射開始後2週間位あとに、照射野(放射線をかけている範囲)に日焼けの様な発赤がおこり、かゆみが出てくる。照射終了前後になると痛みを伴うこともあるが、これらの症状の程度には個人差があり、ひどく出る人もいれば、軽度ですむ人もいる。いずれにしても、治療終了後約1-2カ月で徐々にきれいになるで心配はいらない。切除断端にがんが残っている場合には、通常あと5回(10Gy)追加照射が行われ、がん細胞を完全に制御することにしている。　　コメント　　　　：　乳房温存療法において、放射線治療の併用は必須の方法となっている。原論文１ Data source 1：キーワード：乳癌、Breast Cancer, 乳房温存療法、Breast Conservative Therapy, 放射線治療、Radiotherapy, マンモグラフィー、Mammography 分類コード：030201,030402,
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