脳SPECTとCTの複合三次元画像による診断

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作成： 1998/10/10 中瀬　泰然データ番号　　　：030044 脳SPECTとCTの複合三次元画像による診断目的　　　　　　：脳疾患のSPECT-CT複合三次元画像の作成と診断法の紹介放射線の種別　　：エックス線放射線源　　　　：X線管、Tl-201 応用分野　　　　：医学、診断、概要　　　　　　：　解剖学的脳組織を示す静止画像であるヘリカルCT画像と機能画像である脳SPECT画像を複合することにより、CTデータにより脳容積を頭蓋骨の内板で規定することでSPECTデータ上、問題となるしきい値を自動的に規定することを可能とした。この結果、脳容積、病変部位の定量、病変部の治療に伴う変化などが判定できる。脳動静脈奇形症例について、上記の複合三次元画像を作成しその有用性を紹介する。詳細説明　　　　：　現代の医療現場で使用されている高性能の画像診断機器は、画像の特性から次の2系統に大別できる。静止画像を提供するCT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)などと、機能画像を提供するSPECT(single photon emission computed tomography)、PET(Positron Emission Tomography)などである。　CT画像は、解剖学的に極めて詳細なデータを明瞭に描出できる。しかし、静止画像であることから脳細胞等の様々な機能変化を表示することはできない。また、同じ静止画像を提供するMRI装置の進歩は著しく、対象領域によってはCTに匹敵するぐらいの画像が得られるようになった。さらに、造影剤を用いて脳血流動態の変化を介し多脳機能の画像化も可能となってきた。MRIの詳細については、他の要素データを参照されたい。なお、MRIデータでは、骨が除かれているので次に示す複合には、位置合わせの点から採用しがたい。　PETは機能画像を提供できることから期待されて登場したが、施設が大型になるなどの理由から臨床医学の期待に応えるところまでは普及していない。もう一つのSPECTは、目覚ましい改良により機能的画像診断機器として臨床的にも期待されるようになってきた。特に、3検出器型SPECTの開発とコンピュータの改良により、脳循環・代謝をけんさくする機能的診断機器として認められるようになってきた。さらにデータ処理用ソフトの開発を加えることにより、三次元脳SPECT画像の作成に到達した。　ここで、機能画像(fanctional imaging)を作成するために、CTでは、頭蓋骨で脳容積が規定されているので、この頭蓋骨の内板が判然としていることからCTデータと脳SPECTデータの統合を行うことができる。　図1は、脳血管撮影画像、VAG正面像である。図1　脳動静脈奇形の脳血管像（原論文1より引用）　左上小脳動脈(①→)をfeederとし、その右側に2種のdrainer(②→、③→)を持つ脳動静脈奇形であり、VAG側面像を検討しても、複雑な血管構築を立体的に理解することはきわめて困難である。　手術等の治療に先立って、これらの3次元的相互関係、腫瘍細胞の浸潤状態や大きさを正確にとらえることが必要である。そこで、脳動静脈奇形症に関する複合三次元画像の作成法を次に示す。　SPECTおよびヘリカルCTを用いて得た頭部の三次元画像を図2に示す。図2　3次元画像　　a)SPECT像　　b)CT像（原論文2より引用）　図2a)は、頭頂より見た三次元SPECT像であり右下の部分(→赤色)が脳動静脈奇形の患部である。なお、SPECT測定用には、²⁰¹TlCl製剤を使用した。図2b)も、同様な方向からの三次元CT像であり、脳動静脈奇形部(→赤色)を造影データから明確にしかつ見やすくするために半透明画像にして頭頂の骨を除いた。これらの複合画像を図3に示す。図3　複合3次元画像(SPECT/CT)（原論文2より引用）　複合3次元画像では、CTの頭蓋骨内にSPECT画像の全脳が合成されて描出されており、かつ腫瘍部はCTの造影データから作成された腫瘍部が赤色(①→)で示され、²⁰¹Tlを取り込んだ腫瘍部分が青色(②→)で表示されている。CTおよびSPECTの統合画像で両者の腫瘍部の大きさが異なるのは、薬剤の腫瘍部分への取り込み機構と解剖学的な周辺への腫瘍細胞の異なることに由来する。これらの結果から、脳腫瘍の大きさはSPECT画像の方でより正確に捕らえられていることがわかる。コメント　　　　：　ヘリカルCTとともにMRIデータをつけ加えた三次元統合画像は、頭蓋骨内病変を視覚的に明瞭に捕らえることが可能となり、臨床診断や病気の治療効果判定にきわめて有効であると期待できる。原論文１ Data source 1：ヘリカルスキャンによる頭部の手術シミュレーション松本　正人、児玉　南海雄福島県立医科大学脳神経外科学講座ヘリカルスキャンの基礎と臨床 -連続回転型CTの応用-　木村和衛、古賀祐彦(監修)、医療科学社(東京),pp153-169,1993 原論文２ Data source 2：脳SPECTとCTの統合画像診断　複合三次元画像の現状柴田　家門、御任　明利、周郷　延雄、狩野　利之、根本　暁央、根本　匡章、福井　康夫、清木　義勝、黒木　貴夫、小名木　敦雄、高野　政明、高橋　宗尊、杉田　純一、武藤　安弘。東邦大学医学部、島津製作所、K.G.T、東芝メディカル映像情報MEDICAL　28(18),pp.1107-1111,1996. キーワード：エックス線CT,複合三次元画像,ヘリカルCT,脳SPECT,機能画像診断,脳腫瘍,脳動静脈奇形症,Tl-201塩化タリウム,X-ray computed tomography,unified 3D-imaging,herical CT,brain single photon emission computed tomography,volume scan,functiona image diagnostic,brain tumor,arteriovenous malformation,thallium chloride-Tl-201 分類コード：030102,030103,030401,030704
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