クリニカルPET

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作成： 1998/05/15 井上　登美夫データ番号　　　：030028 クリニカルPET 目的　　　　　　：最近の腫瘍診断におけるクリニカルPETの動向紹介放射線の種別　　：ガンマ線放射線源　　　　：陽電子放出核種応用分野　　　　：医学、診断、機能定量概要　　　　　　：　ポジトロン放出断層シンチグラフィ(ポジトロンCT)は、当初臨床研究の立場での利用が主体であったが、装置の進歩、ポジトロン放出核種の合成法の進歩、さらに撮影技術の進歩などにより、臨床的に実際の診療の中で利用されるようになりクリニカルPETとして定着しつつある。装置の進歩によりハイブリッド型のガンマカメラを装備したポジトロンCT装置が開発され、単光子放出断層シンチグラフィ(SPECT)機能を同時に備えるようになった。詳細説明　　　　：　ポジトロン放出断層シンチグラフィ(ポジトロンCTまたはPET)が出現してすでに20年近く経過しているが、当初臨床研究の立場での利用が主体であったが、装置の進歩、ポジトロン放出核種の合成法の進歩などにより、臨床的に実際の診療の中で利用する、いわゆるクリニカルPETの概念が定着しつつある。近年のクリニカルPETに関連する技術的進歩はめざましいものがあり、従来日常診療からはかけ離れた感のあったPET検査が、日常臨床的なものなった。特にブドウ糖代謝を調べるFDG-PETは、腫瘍の診断にはきわめて有用な手段で、Ｘ線CTやMRIでは得られない情報を提供するため、悪性腫瘍の診断におけるFDG-PET検査の有用性が多くの施設から報告されており、最も有力なクリニカルPET検査の一つといえる。クリニカルFDG-PETに関連する最近の話題をとりあげると、1)FDG合成に関するもの　2)撮影装置に関するもの　3)撮影法に関するものに大別される。　 1.FDG合成について　合成装置のキット化やメーカによるFDGの市販化の動きがある。特に後者の市販化の問題は高価なサイクロトロンを持たない施設でも撮影装置を含むPET装置を持てばFDG検査が行えるため、今後のクリニカルPETの普及に大きな影響を与えることが予想される。図1に、Ｘ線CTにより得られた画像とFDG-PETで得られた画像を示す。図1　結腸癌肝転移像　 a)X線CT像　 b)FDG-PET像　CT像で低吸収域(黒く見える部分)が転移巣であり、これらが肝内に散在している。PET像では、これらの転移巣にFDGの強い集積が見られカラー表示で容易に識別できる。　 2.撮影装置について　ガンマカメラに同時計数回路を取り付けたハイブリッド型のガンマカメラが開発された。このタイプのガンマカメラは通常の単光子放出断層シンチグラフィ(SPECT)も可能であり、かつBGO検出器を用いるポジトロンカメラより安価である。現在いくつかのモダリティメーカから市販されており、そのデータ処理を含めた撮像技術も年々進歩している。外部線源を用いて吸収補正する技術も導入されつつあり、ポジトロンカメラのもつ定量性もカバーできるようになってきて、利用しやすくなった。　一方511keV用コリメータを通常のガンマカメラに装着するFDG-SPECTも開発されているが、分解能に限界があることからその有用性を疑問視するむきもある。　 3.撮影技術　全身PETイメージングが実際的な検査時間内で可能になった。全身イメージングはCT, MRI,　USなど他のイメージングモダリティでは行い難い手法であり、従来は骨シンチグラフィなど核医学検査のひとつの大きな武器であった。その技術がFDG-PET検査でも可能になったことは、悪性腫瘍の進展度診断を効率的に行う上に極めて有用となった。また、従来の全身FDG-PETイメージングは吸収補正を行わずエミッションデータのみで画像を再構成していたため、定量性に問題があった。しかし、現在はFDG投与後にエミッションデータと吸収補正のためのトランスミッションデータを同時に収集する技術が開発され、定量性のある全身PETイメージが撮像可能になってきている。図2に、正常者の全身FDG-PET 全身の前額断層像を示す。図2　全身FDG-PET 正常者の全身の前額断層像3切断面　図2aは、人体の後面部、2bは中央冠状面、2cは前面部の断層像である。脳①でのFDGの集積、腎臓②、膀胱③での集積が強く見られ、脳ではブドウ糖の代謝が活発なことがわかる、また、排泄途中のブドウ糖が腎臓と膀胱を通過していることがわかり、各器官が正常機能していることを示す。　この他、3次元データ収集法や逐次近似法を利用した画像処理法などの技術も迅速な撮像あるいは高画質のPETイメージの提供を可能にしている。このような様々な技術的進歩を背景に、悪性腫瘍のクリニカルFDG-PETは着実に実地臨床検査の仲間入りをしようとしている。コメント　　　　：　FDG-PETは古くから研究されていた検査法であるが、最近は臨床的に使ええる可能性が高くなり、特に核医学の分野ではその動向が注目されている検査法である。参考資料１ Reference 1： PET検査の日本での現桑原　康雄九州大学　医学部新医療,　25(3),49-51,1998 キーワード：陽電子放出断層シンチグラフィ、positron emission tomography, PET、ポジトロンCT、positoron computed tomography,クリニカルPET,clinical PET, フルオロデオキシグルコース、fluoro-deoxy-glucose,FDG,ハイブリッド型ガンマカメラ、hybride-type gammma camera 分類コード：030102,030301,030403
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