ヘリカルCT

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作成： 1996/08/06 遠藤　啓吾データ番号　　　：030001 ヘリカルCT 目的　　　　　　：エックス線CTの進歩と3次元画像放射線の種別　　：エックス線放射線源　　　　：Ｘ線管応用分野　　　　：医学、農学、考古学概要　　　　　　：　ヘリカルCTは連続回転スキャンを行いながら患者寝台を一定速度で移動させ、そのらせん状のスキャンデータから画像を得るCT撮影方式である。体軸方向を広範囲に短時間でスキャンすることが可能で、らせん状スキャンデータは連続的であり、画像再構成は任意の時間間隔、つまり体軸方向の任意の位置で行うことことにより画像数は増加し、体軸方向の連続性に優れた画像が得られる。詳細説明　　　　：　1972年に登場した世界初のエックス線CTは、1枚の断層像の撮影に数分を要した。以来、被検体をより短時間にかつ広範囲に撮影することは、特に医療の分野において強い要望であった。現在のCT撮影方式の主流となっている、マルチスキャンおよびヘリカルスキャン方式の原理を図1に示す。図1　エックス線CT　　a)マルチスキャンの原理　　b)ヘリカルスキャンの原理（原論文1より引用）　図1aは第3世代CTのマルチスライススキャン方式を示す。この方式はエックス線ファンビームと多チャンネル検出器の対が被検体を挟み、その周囲を1回転して投影データを収集する。過去数年間におけるCT撮影方式の発展は、この回転高速化による撮影時間の短縮であり、現在では1秒から数秒程度で、体の輪切り像（断層像）が得られる。ただし1回の撮影から1つの平面上の断層像しか得ることができないため、被検体の3次元撮影には、図1aに示すように大スキャン、第2スキャン等異なる位置での撮影を繰り返す必要がある。図1bにヘリカルスキャンの原理を示す。ヘリカルCTでは、エックス線管が被検体の周囲をらせん状に連続回転運動しながらエックス線を連続照射し、投影データを収集するCT撮影方式である。原理的にはエックス線管が被検体の周囲をらせん軌道を描くように運動する。しかし実際のCTスキャナでは、図1bのように固定したスキャナ本態が連続回転スキャンを行い、同時に被検体が体軸方向に連続スライドする。これによりエックス線管は患者に対して相対的にらせん運動を実現する。前述のように、ヘリカルCTはこれを構成する機能として連続回転スキャンが必須である。そして連続回転スキャンはその要素技術であるスリップリング技術の開発により初めて実現した。　開発メーカーにより、ヘリカルCT、スパイラルCT、ボリュームスキャン、ジェットスキャン、スパイラルボリューメトリックCT、らせんCTなどと、種々に呼称されている。このヘリカルCTの第1の特長は、撮影時間が大幅に短縮されることである。第2の特長は、任意位置のスライス画像を再構成できることである。第3の特長は、1回のヘリカルCTで収集した投影データから、高精度の3次元表示像が得られることである。ヘリカルCTの場合、投影データは体軸方向に連続しており、かつ任意位置の画像再構成が可能である。したがって体軸方向に細かい間隔で多数枚の画像を生成することで、体軸方向にも連続的な画像情報が得られる。これにより複雑な立体構造の把握が容易である。図2に、下肢の3次元表示像を示す。図2　下肢のヘリカルCT像　　a):右下腿：骨・血管は正常　　b):左下腿：血栓すなわち血管閉塞（原論文2より引用）　図2a)は、右下腿であり骨、血管ともに正常であることが判る。図2b)は、左下腿であり骨は正常であるが、血管が閉塞(矢印)していることが明瞭に認められる。　図3に、胸部ヘリカルCT3次元像を示す。図3　胸部ヘリカルCT　胸部大動脈・肺の3次元CT像（原論文2より引用）　写真の中央部は、胸部大動脈を内部から除いた様子を示し血管の太さがよくわかる。矢印の血管は、他に比べて狭くなってることから、高安病と診断できる。コメント　　　　：　従来スキャン方式と比較して、原理の違いから推測されるヘリカルCTの特長を示す。 1.撮影時間が従来スキャン方式に比べ大幅に短い。　　　→ 1回の呼吸停止期間内で肺野などの広い領域を撮影できる。　　　→ 患者の拘束時間が短く、患者の負担が少ない。 2.撮影完了後に任意の位置のスライス画像を再構成できる。　　　→ 撮影完了後に特定の臓器・病変に合わせてスライス画像が再構成でき、再検査の必要がない。 3.高精度の3次元表示が行える。　　　→ 非常に細かいスライス間隔で画像が再構成でき、3次元画像上で段差が生じない。　　　→ 体軸方向に連続的な構造が観察できる。さらに3次元表示処理上で物体の切削を行うことで手術シュミレーションも可能である。原論文１ Data source 1：ヘリカルスキャンの物理的特性。東木　裕介㈱東芝CT技術部ヘリカルスキャンの基礎と臨床－連続回転型CTの応用－　木村和衛、古賀祐彦（監修）、医療科学社(東京)，pp110-120，1993 原論文２ Data source 2：らせんCT　　その基礎から最新の三次元画像まで林　宏光、小林　尚志、高木　亮、趙　圭一、石原　真木子、吉川　晃、市川　太郎、隈崎　達夫。日本医大放射線医学科臨床画像 12,pp181-193,1996. キーワード：エックス線CT、3次元画像、ヘリカルCT、スパイラルCT、ボリュームスキャン、ジエットスキャン、スパイラルボリューメトリックCT、らせんCT、X-ray computed tomography,3D-imaging,herical CT,spiral CT,volume scan,jetscan,spiral volumetric CT 分類コード：030102,030103,030401,040304,
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