加速器の設置状況と応用分野

放射線利用技術データベースのメインページへ
作成：小林　雅貴人 2003/3/20 改定　放射線利用技術データベース工業分野専門部会 2004/03/02 データ番号　　　：010250 加速器の設置状況と応用分野目的　　　　　　：電子加速器およびイオン加速器の設置状況とその応用分野放射線の種別　　：電子,陽子,軽イオン,重イオン放射線源　　　　：電子加速器(1-10 MeV),　イオン加速器フルエンス（率）：0.1mA-40mA 応用分野　　　　：高分子の改質、材料表面加工、がん治療、滅菌概要　　　　　　：　電子線あるいはイオンビームの発生を電源のON/OFFにより容易に制御できること、および加速器の小型化が進んだことから、加速器が様々な産業分野や医療分野で活用されるようになった。詳細説明　　　　：　加速器は、電子線あるいはイオンビームの発生を電源のON/OFFにより容易に制御できること、および近年様々な小型加速器が開発され、使いやすくなり、様々な産業分野や医療分野で活用されるようになった。　　表１は、放射線障害防止法に基づいた放射線発生装置（1MeV以上のエネルギーの放射線を発生する装置）の稼動が認可されている使用許可台数から見た加速器の設置状況（2003年3月31現在）を示す¹⁾。サイクロトロン、シンクロトロン、シンクロサイクロトロンは、イオンビームの発生に使用されている。直線加速器のほとんどが、電子線の発生に用いられ、一部は陽子線などのイオンビームの発生に利用されている。また、表１のベータトロン以下の各加速器も、ほとんどが電子線の発生用である。　表1　加速器の使用許可台数　　　総数構成比医療機関教育機関研究機関民間企業その他の機関総　数 1,194 　　 837 65 133 140 19 サイクロトロン 86 7.2 44 0 17 23 1 シンクロトロン 28 2.3 2 3 19 4 0 直線加速器 898 75.2 764 16 37 66 15 ベータトロン 9 0.8 2 0 0 7 0 ファン・デ・グラーフ加速器 41 3.4 0 16 24 0 1 コッククロフト・ワルトン加速器 84 7.0 0 25 25 32 2 変圧器型加速装置 15 1.3 0 1 9 5 0 マイクロトロン 32 2.7 25 3 1 3 0 プラズマ発生装置 1 0.1 0 0 1 0 0 　　表１の加速器は、殆どが大型装置で、主に医療機関や研究機関に設置されている。特に直線加速器では、その殆どが医療機関で使用され、がん治療に用いられている。また、その他の加速器を含めた総数においても、837台、約70%が医療機関に設置され、診断やがん治療に用いられている。民間企業では、140台の装置が、医薬品の製造（主に小型サイクロトロン）、半導体の改質、電線ケーブルの架橋、樹脂の架橋・分解、医療用具の滅菌などの工業用として使用されている²⁾。　　他方、1MeV未満の低エネルギー電子線を発生させる加速器は、様々なタイプのものが開発され、産業界で使用されている。表２に、2002年までの1MeV以下の低エネルギー電子加速器の設置台数の利用分野別数を示す²⁾。1MeV未満の低エネルギー電子線は、放射線障害防止法の規制対象外であり、このため、各種の生産工程で使用しやすくなっている。　　表２の利用分野の”改質・キュアリング用”には、電線架橋、熱収縮チューブ、発泡プラスチック、タイヤ等の製造や表面キュアリングが含まれる。”環境・保全用”は、滅菌等を含む。　表2　わが国に設置された電子加速器台数（1MeV未満）利　用　分　野 1996年まで 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年合　計改質・キュアリング用 165 8 2 4 1 1 2 183 環境・保全用 12 0 0 0 1 0 0 13 グラフト・機能化 19 3 3 3 3 3 1 35 研究開発用 130 5 4 3 3 3 3 151 その他 0 0 0 0 2 4 3 9 合　　　計 326 16 9 10 10 11 9 391 　　また、表３には、わが国で工業試験用として民間に開放されているメーカーと装置の設置状況を示す。　表3　日本における工業用および試験用電子加速器の設置状況会　　　　社　　　　名装　　　　　　　　　置備　　　　　考ラジエ工業日新ハイボルテ－ジ　　　 5MeV　30mA 受託　　　　　1991年設置日本電子照射サ－ビス（株）つくばセンタ－ダイナミトロン 5MeV　40mA 受託　　　　　1989年設置日本電子照射サ－ビス（株）関西センタ－ダイナミトロン 5MeV　40mA 受託　　　　　1998年設置原子燃料工業（株）ロ－ドトロン 5～10MeV　20mA 受託　　　　　1999年設置（株）NHVコ－ポレ－ション　前橋EBセンタ－日新ハイボルテ－ジ 3MeV　50mA 受託　　　　　2000年設置伸晃化学（株）日新ハイボルテ－ジ 5MeV　30mA 自社・受託　1995年設置ホギメディカル（株）ライナック（サ－スⅡ）ライナック（三菱重工業） 10MeV　2mA 10MeV　2.5mA(2台) 自社専用　　1992年設置自社専用　　1996年設置日本シャ－ウッド（株）ライナック（三菱重工業） 10MeV　0.6mA 自社専用　　2002年設置岩崎電気（株）エレクトロンカ－テン 100～300keV 試験　　　　　1993年設置電気興業（株）エレクトロンシャワ－ 300～900keV 試験　　　　　2001年設置（株）NHVコ－ポレ－ション　京都EBセンタ－エリアビ－ム 300～500keV 試験　　　　　1980年設置石川島播磨重工業（株）ライナック 600～950keV 試験　　　　　2000年設置三菱重工業（株）広島製作所ライナック（三菱重工業） 10MeV　0.6mA 試験　　　　　2003年設置　　コメント　　　　：　　近年新しい原理に基づく小型加速器が次々と開発され、生産プロセスに即組み込み可能になってきている。今後、各生産プロセスに合った効率の良いオーダーメイドの加速器が開発され、使われてくるものと期待される。参考資料１ Reference 1：放射線利用統計社団法人　日本アイソトープ協会社団法人　日本アイソトープ協会放射線利用統計 2003、社団法人　日本アイソトープ協会 (2003) 参考資料２ Reference 2： RI・放射線発生装置の利用状況八木国光（財）放射線利用振興協会原子力年鑑2004、p.172-178、日本原子力産業会議(2003) キーワード：加速器、電子、イオン、陽子、分類コード：010101, 010302,010401,010302
放射線利用技術データベースのメインページへ

	総数	構成比	医療機関	教育機関	研究機関	民間企業	その他の機関
総　数	1,194		837	65	133	140	19
サイクロトロン	86	7.2	44	0	17	23	1
シンクロトロン	28	2.3	2	3	19	4	0
直線加速器	898	75.2	764	16	37	66	15
ベータトロン	9	0.8	2	0	0	7	0
ファン・デ・グラーフ加速器	41	3.4	0	16	24	0	1
コッククロフト・ワルトン加速器	84	7.0	0	25	25	32	2
変圧器型加速装置	15	1.3	0	1	9	5	0
マイクロトロン	32	2.7	25	3	1	3	0
プラズマ発生装置	1	0.1	0	0	1	0	0

利　用　分　野	1996年まで	1997年	1998年	1999年	2000年	2001年	2002年	合　計
改質・キュアリング用	165	8	2	4	1	1	2	183
環境・保全用	12	0	0	0	1	0	0	13
グラフト・機能化	19	3	3	3	3	3	1	35
研究開発用	130	5	4	3	3	3	3	151
その他	0	0	0	0	2	4	3	9
合　　　計	326	16	9	10	10	11	9	391

会　　　　社　　　　名	装　　　　　　　　　置		備　　　　　考
ラジエ工業	日新ハイボルテ－ジ	5MeV　30mA	受託　　　　　1991年設置
日本電子照射サ－ビス（株）つくばセンタ－	ダイナミトロン	5MeV　40mA	受託　　　　　1989年設置
日本電子照射サ－ビス（株）関西センタ－	ダイナミトロン	5MeV　40mA	受託　　　　　1998年設置
原子燃料工業（株）	ロ－ドトロン	5～10MeV　20mA	受託　　　　　1999年設置
（株）NHVコ－ポレ－ション　前橋EBセンタ－	日新ハイボルテ－ジ	3MeV　50mA	受託　　　　　2000年設置
伸晃化学（株）	日新ハイボルテ－ジ	5MeV　30mA	自社・受託　1995年設置
ホギメディカル（株）	ライナック（サ－スⅡ）ライナック（三菱重工業）	10MeV　2mA 10MeV　2.5mA(2台)	自社専用　　1992年設置自社専用　　1996年設置
日本シャ－ウッド（株）	ライナック（三菱重工業）	10MeV　0.6mA	自社専用　　2002年設置
岩崎電気（株）	エレクトロンカ－テン	100～300keV	試験　　　　　1993年設置
電気興業（株）	エレクトロンシャワ－	300～900keV	試験　　　　　2001年設置
（株）NHVコ－ポレ－ション　京都EBセンタ－	エリアビ－ム	300～500keV	試験　　　　　1980年設置
石川島播磨重工業（株）	ライナック	600～950keV	試験　　　　　2000年設置
三菱重工業（株）広島製作所	ライナック（三菱重工業）	10MeV　0.6mA	試験　　　　　2003年設置