海外での電子線処理による環境保全の進展

Sample	Dichloroethane	Chloroform	Methyl isobutil keton	Toluene	Xylene	Phenol
MIXED EFFLUENT(ME)
ME1	288.9(15)	4.3(15)	*	36.3(15)	391.0 (2)	2.6(15)
ME2	18.5 (5)	1.8 (5)	*	14.2 (5)	18.2 (5)	0.0 (5)
ME3	1.0(20)	0.8(20)	*	6.4(20)	0.6(15)	‐0.6(30)
ME4	226.6(20)	2.9(10)	101.7(20)	64.8(10)	42.2(50)	4.6(50)
ME5	265.1(20)	1.8 (5)	150.0(20)	256.2(30)	121.0(10)	3.7(50)
SEPARATED UNITS
RES	*	*	*	10.8(30)	*	‐3.4(30)
PVA	*	*	*	0.5(30)	*	1.4(30)
DET	*	*	*	0.1(30)	0.5(30)	1.0(30)
POI	20.0(30)	*	*	*	*	(30)
SULF	0.4(30)	*	*	*	*	*
THI0	4.6(30)	*	*	*	*	0.5(20)
AZ0	35.2(30)	*	*	5.91(30)	74.3(30)	‐3.4(30)

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作成： 2001/10/31 須藤高史データ番号　　　：010229 海外での電子線処理による環境保全の進展目的　　　　　　：海外での環境保全に関する放射線利用の現状放射線の種別　　：電子放射線源　　　　：電子加速器(1.5MeV,37kW), (1MeV,40kW), (0.7MeV,50kW) 利用施設名　　　：ブラジル原研他応用分野　　　　：排水処理、排煙処理概要　　　　　　：　フランス（アビニヨン）で開催された第12回放射線プロセス国際会議(IMRP)の「環境への応用」で講演された内容。ブラジル原研の工業排水処理、韓国の染色排水処理及びポーランド原研の排ガス処理に関する電子線照射技術。地球規模の環境保全が論議されている時期であり、議論は盛況。詳細説明　　　　：　　フランスのアビニヨンで開催された第12回放射線プロセス国際会議(IMRP)の「環境への応用」で講演された内容を纏めたものである。ブラジル原研の工業排水処理、韓国の染色排水処理及びポーランド原研の排ガス処理の3件である。地球規模の環境保全が論議されている時期であり、80人くらいの聴衆があり、盛況であった。　 (1)　電子加速器を用いた工業排水処理の実験：ブラジル原研　　1.5MV37kWの電子加速器を用いて、工業排水1000Lをバッチ式パイロット装置の実験。貯蔵タンクから照射室へ流し、回収タンクに入るシステム。排水流量は30L/mimで、電流を1.2mA～10.6mA変化させ、線量は5,10,15,20,30及び50kGyを照射。各種の工業排水で実験を行い、pHは1.40-12.8、CODは466-29,000mgO₂/L、硫化物は70-22,780mg/L、油脂類は21-285 mg/L、浮遊固形物は58-494 mg/L等多岐にわたっている。汚染物質である有機化合物の除去はGd(分解のG値)で表され、Gd=△RD・NA/D(6.24x10¹⁵)　mol/J　となる。ここで△RDは溶解有機物濃度変化(mol/L)、Dは線量(kGy)、NAはアボガドロ数である。実験で得られたGdを表1に示す。フェノールについては一部のデータで負の効果があり、それは他の芳香族からの副生成物の効果と考えている。これらの実験結果から、クロロフォルム、ジクロルエタン、メチルーイソブチルケトン、トルエン、キシレンについて電子線分解が有効である。処理前と処理後の排水の写真では20kGyで液の透明度が大きく改善された。表1　主な汚染物質の分解G値（原論文1より引用） Sample Dichloroethane Chloroform Methyl isobutil keton Toluene Xylene Phenol MIXED EFFLUENT(ME) ME1 288.9(15) 4.3(15) * 36.3(15) 391.0 (2) 2.6(15) ME2 18.5 (5) 1.8 (5) * 14.2 (5) 18.2 (5) 0.0 (5) ME3 1.0(20) 0.8(20) * 6.4(20) 0.6(15) ‐0.6(30) ME4 226.6(20) 2.9(10) 101.7(20) 64.8(10) 42.2(50) 4.6(50) ME5 265.1(20) 1.8 (5) 150.0(20) 256.2(30) 121.0(10) 3.7(50) SEPARATED UNITS RES * * * 10.8(30) * ‐3.4(30) PVA * * * 0.5(30) * 1.4(30) DET * * * 0.1(30) 0.5(30) 1.0(30) POI 20.0(30) * * * * (30) SULF 0.4(30) * * * * * THI0 4.6(30) * * * * 0.5(20) AZ0 35.2(30) * * 5.91(30) 74.3(30) ‐3.4(30) ( ) = Radiation dose (kGy) considered for Gd calculation * = organic compound which concentration in the effluent was under the detection limit (2)染色排水の電子処理：韓国　　韓国の大邱地方の染色工業地区には100以上の染色工場があり、大量の濃色工場排水が出る。電子線浄水は、排水の脱色及び有機物分解に有効である。フィジビリティテストを踏まえ、パイロットプラントを建設。1MeV40kWの電子加速器を用いた流量1,000m³/dayの規模で、1998年10月にタワー型生物処理設備を設置。システムチャートを図1に示す。排水はノズル型インジェクターから2-3m/sで、電子線が十分通るような形で射出される。1998年10月からの2年間の連続運転で以下の結果を得ている。 (a) 電子線と生物処理の組み合わせで化学処理剤の必要量が減少し、CODとBODが30-40%減少。 (b) 電子線処理を行うと生物処理槽での処理時間を短縮でき、生物処理施設を小さく出来る。 (c) 高濃度の排水処理では電子線法のみでは必要線量が多すぎるが、生物処理等との併用で有効であり、電子線処理を化学処理の前段に配置することがより効率的である。図1　染色排水処理システムチャート（原論文1より引用） (3)電子線による排ガス処理施設：ポーランド原研　　電子線による排ガス処理は日独米及びポーランドの各国でパイロットテストがなされ、その優位性が証明されている。中でもポーランドのカヴェンチン、中部電力でのテストでの成果は大きい。工業用実規模施設として中国成都に続きポーランドのポモジャーニー発電所で現在調整中。カヴェンチン発電所に設備が1991年に設置され、20,000Nm³/hの排ガスを700keV50kWの電子加速器2台で処理。NO_xの除去率は線量と入口濃度に影響される。SO2は大部分が熱反応で除去され、水分15%、温度55-65℃の時には除去率98%に達する。ポモジャーニー発電所では最大300,000Nm³/hの排ガス処理を試みる。図2に設計概念を示す。2本の並列照射容器と流れ方向2回照射が電子線の利用効率を最大とするこれまでの知見の成果である。試運転は2001年1月に開始し、現在調整中。電子線による処理の利点は、SO₂とNO_xの同時除去、副生物(肥料)の利用、ドライプロセスである。図2　Pomorzany発電所に建設されている電子線による排ガス処理モデル施設（原論文1より引用）コメント　　　　：　これまで着実に研究及び実用化試験がなされてきた。最近は大容量加速器が開発され、実規模試験が可能となって、その成果が発揮されている。特に石炭火力発電所排ガス処理の面で顕著である。原論文１ Data source 1：新ミレニアムに向けた放射線プロセシングの発展　　　　――第12回放射線プロセス国際会議―― 　　　　　　　環境問題のソリューション=放射線= 水澤健一日新ハイボルテージ㈱放射線と産業、No.91、p18-22(2001) キーワード：排水処理、排煙処理、電子線、電子加速器、環境保全、染料排水、石炭ボイラー Waste water treatment, Flue gas treatment, Electron beam, Electron accelerator, Environment preservation, Dye industry waste water, Coal burning boiler 分類コード：010501,010502,010505
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