EB硬化システム

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作成： 1999/09/23 石垣　功データ番号　　　：010184 EB硬化システム目的　　　　　　：低エネルギー加速器によるEB硬化技術の応用放射線の種別　　：電子放射線源　　　　：電子加速器(100 ～ 300 keV ) 線量（率）　　　：20 ～ 50 kGy (?) 照射条件　　　　：不活性雰囲気(窒素気流中)、室温応用分野　　　　：食品・飲料容器、フィルムへの印刷、機能性付与の塗装、粘着フィルムやラミネートなどの接着　概要　　　　　　：　エレクトロニクス技術の進歩とともに、エネルギー効率の優れた低エネルギーの自己遮蔽型電子加速器が開発されて、印刷、塗料、接着の分野においてEB硬化システムとして、その利用が進展している。EB硬化技術の種々の特徴を利用した分野として、1.食品容器、飲料容器、プラスチック製品などへの印刷、2.高光沢印刷物、印画紙、静電気除去フィルムなどへの塗装、3.粘着フィルムや各種ラミネートなどの接着について、実用例を紹介する。詳細説明　　　　：　低エネルギー、自己遮蔽型電子加速器が開発されて、塗料、印刷インキ、接着剤の硬化や、グラフト重合による表面改質など、種々の応用が本格的に実用化されつつある。特に、身近な作業環境汚染のみならず地球規模での環境汚染が問題化している今日、従来法に較べて、多くの優れた特徴を有する省資源・省エネルギー型の電子線硬化技術が非常に注目されてる。EB硬化技術の特徴としては①硬化速度が大、②無溶剤、無触媒(開始剤)、③常温硬化、④省スペースなどが挙げられる。これらの特徴を利用した分野として、1.食品容器、飲料容器、プラスチック製品などへの印刷、2.高光沢印刷物、印画紙、静電気除去フィルムなどへの塗装、3.粘着フィルムや各種ラミネートなどの接着などがある。　１．印刷では、飲料・食品用紙容器のウェブオフセット輪転印刷にEB照射装置が使用されている(図1)。これは6色印刷機とEB照射装置の組合せで、前段でカラーインキの印刷とOPワニスのコーティングを行ない、最後にEB照射装置で同時に硬化するものである。これにより、高生産性、高品質(高光沢、高硬度など)が可能となる。この他に、枚葉のオフセット印刷システムなどがある。図1　EBドライヤー使用の6色オフセット輪転印刷ライン（原論文1より引用）　２．塗装における応用は、機能付与を目的に、基材に塗布した樹脂をEB照射装置で硬化させてコーティング処理するものである。例えば、従来にない高平滑、高光沢の塗工紙がドラムコート法とEB硬化の組み合わせにより開発されている(図2)。また、紙への蒸着用ベースコート及び蒸着後の保護コートや紙及びフィルムへのリリースコーティングが、EB硬化による生産性の向上や高品質化の目的で行なわれている。フィルムの永久帯電防止処理と防曇処理もあるが、この特徴は、その効果の耐久性・耐熱性が極めて高いことである。さらに、プレコート鋼鈑の製造でも、着色塗料、印刷インキの硬化にEBが使用され、非常に高い表面硬度と耐候性の製品が得られている。図2　ドラムキャスティング（原論文2より引用）　３．電子線は、UVと異なり透過性があるので物質を通して中の物の処理が可能である。接着の分野では、この特徴を利用して、紙/紙、紙/フィルム、紙/金属箔、フィルム/織物などのラミネートが行なわれている。また、接着剤を紙やフィルムに塗布し、これに短繊維や研磨剤などを接着させ、電子線を照射することによって接着・固定化する技術がある(図3)。図3　EBフロッキングシステム（原論文1より引用）　　EB硬化システムの本質的な特徴は、無溶剤型樹脂の使用による省資源・省エネルギー・非環境汚染プロセスにより、他のシステムでは得られない優れた物性と高い生産性が可能となる点にある。最近では、エネルギー効率を低下させることなく加速電圧 100 kV の電子加速器が開発されており、これの採用により、消費電力の削減とシステムの価格の低廉化が可能である。さらに、不活性ガスの供給についても、液体窒素の使用と窒素発生装置を組み合わせたハイブリッド方式の採用により、製品価格の低減が可能である。　コメント　　　　：　地球規模での環境汚染、身近な作業環境汚染が問題化している今日、従来法に較べて、多くの優れた特徴を有する省資源・省エネルギー型の電子線硬化技術は注目に値する。しかし、我が国におけるこれまでの実績では、石膏タイルや屋根瓦の塗装の例でも分かるように、その実用技術としての寿命が極めて短い。EB硬化システムの新規応用分野の開拓も重要ではあるが、当該技術の短命である原因を究明することも更に重要である。原論文１ Data source 1：電子線硬化システム　-　塗膜乾燥システムの設計事例　- 木下　忍岩崎電気㈱EB事業部塗装技術、35(4), p. 82-86(1996) 原論文２ Data source 2：塗膜硬化方法とエネルギーの活用事例　EB硬化システムの活用事例吉田　安雄㈱アイ・エレクトロンビーム塗装技術、37(3), p. 76-81(1998) 原論文３ Data source 3： EB生産ライン探訪記事工業塗装、No. 152, p. 63-66(1998) キーワード：低エネルギー、電子加速器、電子線、硬化、塗膜、印刷、接着、ラミネート low energy, electron accelerator, electron beams, curing, cured film, printing, adhesion, ramination 分類コード：010101, 010301, 010302, 010303, 010304
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