カラーコピー機を利用したEBアートタイルの製造

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作成： 1997/03/14 伊藤　寿データ番号　　　：010047 カラーコピー機を利用したEBアートタイルの製造目的　　　　　　：カラーコピー機を用いたEBアートタイルの製造とその利用放射線の種別　　：電子放射線源　　　　：低エネルギー電子加速器(200kV) 線量（率）　　　：30-70kGy 照射条件　　　　：窒素気流中応用分野　　　　：建築材料、アート概要　　　　　　：　カラーコピー技術とEB硬化技術を併せて利用したアートタイルの製造工程とその特徴、塗膜性能、製品の適用例を紹介した。従来のスクリーン印刷や手描きの製造工程に比べ、効率的かつ経済的であり、EB硬化型塗料を利用して得られる塗膜性能は表面硬度、耐薬品性、耐汚染性、耐摩耗性に優れている。また、少量生産に向くためオリジナリティーの高い製品の生産が可能である。詳細説明　　　　：　　 1.EBアートタイルの製造工程と特徴　カラーコピー技術とEB硬化塗料を利用したEBアートタイルの製造工程は、Ⅰ.絵柄を特殊第2原紙にカラーコピーする、Ⅱ.基材への熱転写、Ⅲ.電子線(EB)塗料の塗布、Ⅳ.EB照射による硬化の4つからなる。この製造法にはいくつかの特徴や制約がある。　　　基材の選択では、カラーコピーを行うために転写がスムーズかつ確実に行えることが基本的な条件となり、複雑な形状の物や表面に凹凸のあるような物は適さないという制約がある。しかし、EB硬化塗料を用いるため従来法のように硬化乾燥に熱がかからないので耐熱性に劣るような素材にも適用が可能となる。基材への転写工程では、絵柄の色を忠実に再現するために温度や圧力のコントロールが必要となる。圧力や温度のかけすぎは基材変形や転写のくずれを招く。　　この製造法の開発では人の顔の写真でも十分に原画を再現できることを確認した。トップコートとしてのEB硬化塗料の塗布工程では特に乾式の場合、転写層のカラーコピーのトナーに含まれる添加剤との相性を考慮した調整をしなければならない。この調整が不十分だと塗膜のはじきが発生して十分な仕上がりのタイルを得ることができない。また、EB硬化塗料の粘度コントロールは無溶剤タイプであるので通常温度で行い、30～40℃で塗布することが好ましい。EB照射工程では、トップコートの膜厚が100μm前後であることから200～250kVの加速電圧が必要である。また、照射によるカラーコピーのトナーの変退色を色差変化により評価した。200kVで窒素ガス雰囲気中、最高70kGyまで照射を行ったが変退色はなかった。　　 2.EBアートタイルの塗膜性能　EBアートタイルの塗膜性能を表1に示す。テスト板は基材にアルミ／プラスチック複合材をウレタン塗装したもので、カラーコピー後にカーテンフローコーターでEB硬化型塗料を120μm塗装して70kGy照射を行ったものである。トップコートについては表面硬度、耐水性、耐薬品性、耐候性について良好な結果が得られた。また耐摩耗性については、別に床材用途に作成した試料と市販品とを比較した結果、優れていることを確認した。表1　EBアートタイルの性能（原論文1より引用）項　目　内　容試験結果外観　　硬度耐温水性耐沸水性　耐湿水性耐薬品性　耐溶剤性耐寒熱性促進耐候性目視評価　鉛筆硬度（JISK5400） 40℃×240Hrs 煮沸2Hrs　 50℃、98%RH×240Hrs 10%NaOH*24Hrs　　　　 10%H₂SO₄*24Hrs エタノールスポット24Hrs -20℃～ -80℃　7cycl S.W.O.2000Hrs 仕上がり、肉持感良好 8-9H 異常なし異常なし異常なし異常なし異常なし異常なし異常なし光沢保持率 90% 　しかし転写層のカラーコピーのトナーは、促進耐候性試験により色差変化が大きいことがわかった。結果を図1に示すが、特に黄色成分の色差変化が大きいことがわかる。緑色の色差変化が大きいのは黄色と青色の組み合わせで色を出しているため、黄色成分の変化が起因していると考えられる。屋外用途での使用は注意が必要であり、今後の検討課題である。図1　トナーの促進耐候性試験結果（原論文1より引用） 3.EBアートタイルの用途　室内壁面、水まわり材、床材への適用について各々検討を行った。室内壁面で用いられる場合、視覚的な美観が重要となる。本製造法で得られた製品は、原画を忠実に再現することができ、焼き物では色を出しにくいグラデーションの色合いも容易に表現できる。水まわりで用いられる場合は当然、耐水性が必要となる。表3に試験の結果を示す。耐水性は基材自体の影響をかなり受けるが、アルミ板やコンポジット板で良好な結果を示している。表2　EBアートタイル各種基材の耐水性（原論文1より引用）基材プライマー 6ヶ月耐水性テスト** ストレート板素焼きタイル硅カル板アルミ板コンポジット板* ウレタン下塗ウレタン下塗エポキシ下塗エポキシ下塗ウレタン下塗　ブリスター△ ブリスター○△ ブリスター× ブリスター○ ブリスター○ *アルミ／プラスチック／アルミ複合板 **室温浸漬　床材への適用では、EB硬化塗膜は耐摩耗性に優れることから適している。また、実際の使用に際して問題となる滑り性では、例えば雨の日に紳士靴で歩行した場合を想定した測定でも問題はなかった。結論としては、カラーコピー技術とEB硬化技術を組み合わせたアートタイルの製造法は従来品に比べて低コストで高性能なものが得られ、少量生産が可能であるという利点も併せもつ。タイル以外の建築材料にも応用ができる技術である。コメント　　　　：アートタイルなどの美術的要素を含んだ建築材料は、特にオリジナリティーが求められるために少数生産となるのは当然である。他の印刷技術に比べてカラーコピーを利用していることから少数生産向きであり需要にマッチングした方法と考えられる。また、用途から耐候性が求められるがUVコーティングに比べてEBコーティングのほうが耐候性に優れていると一般的にいわれている。既存の確立された2つの技術の利点を組み合わせた製造法であり、今後の展開が期待される。原論文１ Data source 1：電子線硬化型ニューEBアートタイルについて丸山　孜、秋山　厚、富山　猛関西ペイント株式会社、〒254　神奈川県平塚市東八幡4-17-1 塗装工学.,Vol.29,No.4.p154(1994) キーワード：アートタイル、カラーコピー、EB硬化、壁材、床材、 art tile, color copy, EB curing, wall material, floor material 分類コード：010301,010109
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項　目	内　容	試験結果
外観　　硬度耐温水性耐沸水性　耐湿水性耐薬品性　耐溶剤性耐寒熱性促進耐候性	目視評価　鉛筆硬度（JISK5400） 40℃×240Hrs 煮沸2Hrs　 50℃、98%RH×240Hrs 10%NaOH24Hrs　　　　 10%H₂SO₄24Hrs エタノールスポット24Hrs -20℃～ -80℃　7cycl S.W.O.2000Hrs	仕上がり、肉持感良好 8-9H 異常なし異常なし異常なし異常なし異常なし異常なし異常なし光沢保持率 90%

基材	プライマー	6ヶ月耐水性テスト**
ストレート板素焼きタイル硅カル板アルミ板コンポジット板*	ウレタン下塗ウレタン下塗エポキシ下塗エポキシ下塗ウレタン下塗	ブリスター△ ブリスター○△ ブリスター× ブリスター○ ブリスター○