超高線量放射線照射による光ファイバガラスの構造変化

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作成： 1995/09/30 飯野　顕データ番号　　　：010034 超高線量放射線照射による光ファイバガラスの構造変化目的　　　　　　：光ファイバの耐放射線特性評価放射線の種別　　：ガンマ線,中性子放射線源　　　　：JMTR, Co-60 フルエンス（率）：Neutron: 1.06×10²⁰ n/cm², 3×10¹⁶ n/cm² 線量（率）　　　：γ-rays: > 1 MGy, 4.3×10⁹ Gy 利用施設名　　　：JAERI Oarai, NRL, LASREF 照射条件　　　　：460K(187℃), 27℃ 応用分野　　　　：セラミック構造分析、放射線センサ、超高線量耐放射線光ファイバ概要　　　　　　：　各種シリカコア光ファイバを超高線量放射線環境(高速中性子及びγ線)下に曝し、それらからの発光現象を調べた。超高線量γ線照射処理による各種シリカコア光ファイバの放射線硬化(Radiation　Hardening)現象が明らかにされた。詳細説明　　　　：　　　0.25mm のコア径を有する 3種類の光ファイバ、① F（フッ素）ファイバ: Fドープコア△=0.35%、② H（水素）ファイバ: 水素処理されたもの、③ OH（水酸基）ファイバ: 500 ppmの 0H基を含むコア、を核分裂炉の中の放射線(高速中性子: 1.06 x 10²⁰ n/cm²、γ線: 4.3 x 10⁹ Gy、460 K)に曝した。いずれの光ファイバからも、それら放射線の照射中に波長 0.45, 0.73, 1.27μm において発光が見いだされた。発光強度は、核分裂炉の出力が大きくなるにつれて増大した。波長 0.73μmにピークを持つブロードな発光はチェレンコフ放射であると思われる。波長 1.27μmにピークを持つシャープな発光は、γ線照射によってシリカコアから発生していると思われた。　　　アクリレートでジャケットされた 3種類の光ファイバ、(a) GI（グレイデイドインデックス型）ファイバ: コーニング社、コア径 62.5μm、クラッド径 125μm、Ge（ゲルマニウム）ドープコア、純シリカクラッド、(b) 高 0Hファイバ: コア径 100μm、クラッド径 120又は 140μm、600-800 ppm の 0H 基を含むシリカコア、フッ素ドープクラッド、(c) 低 0Hファイバ: コア径 100μm、クラッド径 140μm、1 ppm 未満の 0H基を含む純シリカコア、フッ素ドープクラッド、に一旦 10⁶ Gy のγ線を照射しておくと、次の 3 x 10⁶ Gyγ線被曝時の損失増(波長610, 660nm)が、(b)高 0H ファイバで約 1/60、(c) 低 0H ファイバで約 1/10に減少することがわかった。一方 (a) GIファイバでは、一回目の照射と同様な損失増増加曲線を示した。シリカコアファイバにおける放射線硬化の機構は、二つの過程からなるモデルで説明できる。シリカコアファイバの可視波長域における放射線誘起光吸収は、不純物である塩素原子又はパーオキシ結合によって起こる。γ線照射の初期段階においては、塩素原子自身が紫外部に吸収をもたらし、パーオキシ結合は酸素間で切断され非架橋酸素ホールセンタが生成するので波長 600 nm 付近の吸収が起こる。1 MGy 以上のγ線が照射されると、ガラスの格子を構成している酸素原子が解放され、以下の式に従ってそれらと反応するため、放射線硬化が起こるの２過程である。　　　　　Cl0 + (x/2) O₂ → ClO_x　　 Cl0による紫外部光吸収の裾引きが無くなる。　　　Si-O-O-Si　→ 2 Si-O・　+ O₂　→ 2 Si-O-O・非架橋酸素ホールセンタ-による波長 600 nm 付近の光吸収が無くなる。　　コメント　　　　：　抄録原論文1で報告された発光現象については、放射線センサ等実用面での応用よりむしろそれによってガラス構造の理解が従来より深まるのではないかと期待される。一方抄録原論文2の方は、光ファイバの放射線硬化という現象が、ガラス構造までさかのぼって議論されており、大変興味深い。さらに、この現象は光ファイバを超高線量放射線環境下へ応用する場合に有用であり、今後新組成の光ファイバガラスの開発にも役立つと思われる。　　原論文１ Data source 1： Optical properties in fibers during irradiation in a fission reactor T.Shikama*, T.Kakuta**, M.Narui*,T.Sagawa***, H.Kayano* *The Oarai Branch,IMR,Tohoku University,Oarai,Ibaraki-ken 311-13,Japan. **The Tokai Research Establishment,JAERI,Tokai,Ibaraki-ken 319-11,Japan.***The Oarai Research Establishment,JAERI,Oarai,Ibaraki-ken 311-13,Japan. J. Nuclear Materials, 225(1995) pp. 324-327. 原論文２ Data source 2： Radiation hardening of pure-silica-core optical fibers by ultra-high-dose γ-ray pre-irradiation D.L.Griscom Naval Research Laboratory,Washington,DC 20375 J. Appl. Phys., Vol.77 (10),15 May 1995, pp.5008-5013. キーワード：光ファイバ、光学特性、高速中性子、核分裂炉、γ線、超高線量、放射線硬化 optical fiber, optical properties, fast neutron, fission reactor, γ-rays, ultra-high-dose, radiation hardening 分類コード：010103, 010202, 040302
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