超伝導リニアック駆動自由電子レーザーの最近の進展

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作成： 2000/01/20 峰原　英介データ番号　　　：140024 超伝導リニアック駆動自由電子レーザーの最近の進展目的　　　　　　：コンパクトで高出力の産業用超伝導リニアック駆動自由電子レーザーの開発研究実施機関名　：日本原子力研究所東海研究所準連続波超伝導リニアック駆動自由電子レーザー、トマス・ジェファーソン国立加速器研究所超伝導リニアック自由電子レーザー施設応用分野　　　　：環境問題、地球温暖化対策、溶接溶断機、同位体分離、原子分離、パワービーミング、宇宙デフリ対策原子炉廃炉除染、光化学、光加工、舶用鋼板溶断溶接、パワービーミング概要　　　　　　：　1998年2月以来、超伝導リニアック自由電子レーザーの出力競争が米国ジェファーソン国研と原研で行われた。2000年2月に原研超伝導リニアック駆動自由電子レーザーは、引き出し効率の増加に成功し、2.34kWの世界最高出力の発振に成功した。これは昨年、達成されたジェファーソン国研の成果を出力と引き出し効率で大きく上回るものである。今後産業応用が急速に進むと共に2年毎に10倍以上の出力増加が継続され、10年後には数十MW連続波乃至準連続波の発振達成が予測される。詳細説明　　　　：　専用高出力超伝導リニアック駆動自由電子レーザーは、1998年2月原研が、最初に発振に成功した。それ以前の最初の発振が行われた1978年からの出力増加をふくめて、最近までの進展を図1にまとめた。とくにこの2年は、原研の最初の発振と高出力記録0.1kW以来、ジェファソーン国立研が数カ月遅れて発振し、この2つの研究所でそれぞれ数カ月毎に記録を更新している。図の中でわかるように最初の発振が超伝導リニアックによる出力のジャンプがあり、その後の高出力FELの出力競争の端緒となった。高周波電力が損失無しにビームエネルギーに変換される超伝導リニアックを使用することでその効率を飛躍的に高めた。図1　高出力超伝導リニアック駆動自由電子レーザーと最近の進展。 Recent Progresses in Superconducting rf linac based High Power Free-Electron Lasers . 　ジェファーソン国研は、Lバンド超伝導リニアックで電流はとれないが高い加速エネルギーでエネルギー回収無しで1998年8月0.3kWを達成した。最初からエネルギー回収系を設置していたジェファーソン国研は、エネルギー回収によって高周波電力を同一のままで繰り返しを数倍に上げ、全ビーム出力と電子ビーム電流をやはり数倍に上げることに成功し、1999年3月に0.7kW、同年7月に1.72kWを達成した。これで最初の目標であった1kwの発振を彼らは達成した。　　原研は、エネルギー回収系を最初から設置しておらず、エネルギー回収無しで以下の成果を出した。少し遅れて1999年8月に0.3kW、2000年1月に1.1kW、同年2月には、目標を2倍以上上回る2.34kWの発振に成功し、目標を達成した。これはジェファーソン国研が250kWのエネルギー回収されたビームエネルギーから1%を切る引き出し効率で1.72kWを達成したことと比べて、原研はエネルギー回収無しで100kWのビームエネルギーから2.3%以上の引き出し効率で2.34kWを達成した事は特筆すべき事である。(表1参照)引き出し効率は、通常のFELでは1/(2Nw)でアンジュレーター周期数Nwが数十であるので0.9%ー1%以下である。これを2倍以上上回っている。現在、エネルギー回収系を設置中(図2参照)で、この設置後にエネルギー回収によってビーム出力を増加させ、さらに引き出し効率を増加させる事によって飛躍的に光出力増加を図りたいと考えている。　　今後、どれくらいの出力の増加が期待できるか、同じ図の中に今後の10年間の予測を書いてみた。1998年2月から2000年2月までに2年間に数十倍の増加が達成されているが、少なくとも今後の数年はこの同じ年率の進展が予測される。また平均して、今後10年間に2年毎に10倍程度は増加していくと期待している。図にあるように現在の2kW程度の出力が10年後には数十MW連続波乃至は準連続波で得られると考えられる。図2　原研自由電子レーザーのエネルギー回収系完成予想図。 An Artist's Picture for the JAERI Beam Energy Recovery System. 表1　原研とジェファーソン国研自由電子レーザー動作パラメター比較表。 Working Parameter Sets of the JAERI and Jefferson Lab. Free-Electron Lasers. -------------------------------------------------------------------------------------------- 原研超伝導FEL (日本）　ジェファーソン研究所IR-demo （米国） -------------------------------------------------------------------------------------------- 加速器超伝導リニアック超伝導リニアック主加速周波数　　　　　 500MHz　　　　　　　　　　　　　1500MHz 加速エネルギー 17MeV 48MeV 平均加速電流 6mA 1.1mA（エネルギー回収なし） 4.4mA（エネルギー回収あり）運転モード準定常(1ms×10Hz) 定常入射器熱陰極電子銃、低調波バンチャー DC光陰極電子銃、低周波バンチャー電子銃電圧 230kV 320kV バンチあたり電荷量 600pC 60pC バンチ繰り返し 10.4MHz 18.7～78.4MHz アンジューレーターハイブリット型ハイブリット型周期長、周期数 3.3㎝×52周期 2.7㎝×40周期光共振器全長 14.4m 8.01m 取り出し方式センターホール／横はね半透明鏡（誘電体多層膜 FEL発振波長 16～23μm　　　　　　　　　　　 3～6μm　 -------------------------------------------------------------------------------------------- FEL平均出力（最大値) 2.34kW 0.311kW (エネルギー回収なし）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1.72kW (エネルギー回収あり） FELパルスエネルギー 224μJ 23.0μJ -------------------------------------------------------------------------------------------- コメント　　　　：　急速に超伝導リニアック自由電子レーザーの将来技術の展望が開けつつある。今後、エネルギー回収と引き出し効率の改善が急速に進み、商業的にも魅力に富んだ、応用分野の広い技術となっていくと期待している。原論文１ Data source 1： FIRST LASING JAERI QUASI-CW, AND HIGH- AVERAGE POWER FREE ELECTRON LASER DRIVEN BY A SUPERCONDUCTING RF LINAC Eisuke J. Minehara, R.Nagai, M.Sawamura, M.Takao, N.Kikuzawa,M.Sugimoto, S.Sasaki, M.Okubo, J.Sasabe, Y.Suzuki, Y.Kawarasaki and N.Shikazono Japan Atomic Energy Research Institute, Tokai Research Establishment, Free Electron Laser Laboratory, 2-4 Shirakata Shirane, Tokai, Naka, Ibaraki 319-11, JAPAN NUCLEAR INSTRUMENTS AND METHODS A331, p182(1993) 原論文２ Data source 2： CEBAF UV/IR FEL SUBSYSTEM TESTING AND VALIDATION PROGRAM G.R. NEIL, S.V.BENSON,H.F.DYLLA AND H.LIU Thomas Jefferson National Accelerator Facility, 12000 Jefferson Avenue, Newport News, VA 23606 USA NUCLEAR INSTRUMENTS AND METHODS A358, p159(1995) キーワード：最近の進展、超伝導リニアック駆動自由電子レーザー、光出力の増加、エネルギー回収、引き出し効率の改善、 Recent Progress, superconducting rf linac based free electron laser, Increasing Optical Output, Beam-energy recovery, Extraction Efficiency 分類コード：140302, 140305, 140801
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