仮想空間を用いた組立動作教示システム

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作成： 1999/10/20 音田　弘データ番号　　　：120044 仮想空間を用いた組立動作教示システム目的　　　　　　：仮想空間を利用した容易で確実なロボットの教示技術の開発研究実施機関名　：電子技術総合研究所知能システム部応用分野　　　　：遠隔操作システム、ロボットプログラミング概要　　　　　　：　十分に整備されていない環境でロボットを動かすには、その環境に適応性をもった教示・作業実行手法が必要である。このような手法の開発では、いかに人間にとって危険や負担を少なく教示し、かつロボットの作業実行を確実にするかが課題である。ここでは、そのために仮想環境とロボットの技能を利用した手法を示す。この手法では、仮想環境下で人間が教えた動作を、ロボットが自分の技能に基づいて解釈し直し、確実に実行する。　詳細説明　　　　：　仮想環境と実環境を統合することによって、ロボットへの非整備環境内での組立作業の教示を可能とする手法を開発した。　　現状では、ロボットへの作業教示は、ティーチングプレイバック方式という、実際の作業環境において教示者がロボットにさせたい作業動作をそっくりそのまま操縦により教え、記憶させる方法が採られている。この方法は、ロボットの操縦をしながら教示するために教示作業の手間がかかること、動いているロボットの近くで教示するための危険性などの問題が指摘されている。　　これらの問題点を、仮想環境と実環境を統合することで解決を図った。これまでにも仮想環境を利用したロボットへの教示システムの提案はなされている。しかし、それらは仮想環境の中で人間が行った作業対象物の位置情報だけに基づいたものにとどまっている。そのため、(i) ロボットにやらせたい作業動作を人間自身が十分な精度で実演する必要がある、(ii) 仮想環境と実環境の間のずれがある場合に十分対処できない、(iii) 仮想環境を実環境と合わせるために非常な手間がかかる、などの問題点があった。本手法では、人間は、実環境と対応づけられた仮想空間を用いて目標とする組立作業を教え、作業動作計画システムはその教えられた作業をロボットのスキル(技能)に基づいて解析し、ロボットにとって実行可能な動作手順を生成する。　　このスキルに基づいた解析は、本研究の独創性の重要なポイントである。仮想環境で人間が教える動作を直接にロボットの動作に変換するのではなく、一度、ロボットによる確実な実行が保証されているスキルの組合わせに置き換え、そのスキルの実行としてロボットプログラムを生成するという方法をとる。どのスキルを適用するかは、人間が教えた組立作業シーケンスにおける物体相互の接触状態の変化に着目して行なう。すなわち組立作業は部品相互の接触状態の遷移と考えられ、ロボットスキルは接触状態の信頼性の高い変換法となっている。　　以上のように、仮想環境を用いることにより人間にとって危険や負担が少なくなる。一方、仮想環境と実環境とのずれはロボットのスキルで吸収できる。これにより仮想環境の構築も簡易化され、十分に整備されていない環境への適応性ももった教示・作業実行統合システムが実現される。図1　System Configuration. （原論文3より引用。　Copyright 1998 IEEE）　本手法を用いた教示システムの構成を図1に示す。本システムを用いた教示・実行手順は以下のようなものとなっている。1)まずシステムは、コンピュータビジョン技術、バーチャルリアリティ技術によって実際の作業環境に対応した仮想空間をコンピュータの中に作製する。2)次にオペレータはこの空間の中で操作対象物を自在に操ることにより、組立作業を仮想的に実行し、仮想作業教示を行う。3)そのすべての作業実行データをコンピュータが記録し解析することにより、マニピュレータの作業プログラムを自動的に作成する。この際に、接触状態の解析手法が活用されている。4)作成されたプログラムに基づいてマニピュレータが作業する(図2)。図2　Teaching by Demonstration in VR. （原論文4より引用。　Copyright 1999 IEEE）　作業の中に現われる接触状態は、一つ一つスキルで達成する事が可能なものである。仮想環境で得られた作業プログラムは、このようにスキルで実行可能なレベルにあるので、現実の作業環境との位置誤差等は実行時にスキル内部で補償される。これにより、仮想環境内で行った物と物との接触を伴う組立などの精密な作業を、接触状態レベルで記録し、スキルプログラムとして再構成し、実環境に適応させながら確実に実行することが可能となっている。　コメント　　　　：　　原論文１ Data source 1： Assembly Motion Teaching System using Position/Force Simulator - Extracting a Sequence of Contact State Transition - H. Onda, H. Hirukawa, and K. Takase Electrotechnical Laboratory, 1-1-4 Umezono, Tsukuba, Ibaraki 305-8568 Proceedings of the 1995 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems, vol. 1, pp. 9-16, 1995 原論文２ Data source 2： Assembly Motion Teaching System using Position/Force Simulator - Generating Control Program - H. Onda, H. Hirukawa, F. Tomita, T. Suehiro and K. Takase Electrotechnical Laboratory, 1-1-4 Umezono, Tsukuba, Ibaraki 305-8568 Proceedings of the 1997 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems, Vol. 2, pp. 938-945, 1997 原論文３ Data source 3： A Telerobotics System for Maintenance Tasks Integrating Planning Functions Based on Manipulation Skills T. Ogasawara, H. Hirukawa, K. Kitagaki, H. Onda, A. Nakamura, H. Tsukune Electrotechnical Laboratory, 1-1-4 Umezono, Tsukuba, Ibaraki 305-8568 Proceedings of the 1998 IEEE International Conference on Robotics and Automation, pp. 2870-2876, 1998 原論文４ Data source 4： Teaching by Demonstration in Virtual Reality - Specification of Preparation Motion based on a Virtual Small Face and Artificial Constrained Motion Primitives - H. Onda Electrotechnical Laboratory, 1-1-4 Umezono, Tsukuba, Ibaraki 305-8568 Proceedings of IEEE International Conference on Systems, Man and Cybernetics, pp. Ⅲ-1095～Ⅲ-1100, 1999 キーワード：ロボット、教示、保守作業、遠隔操作、仮想空間 Robot, Teaching by demonstration, Maintenance, Tele-operation, Virtual Reality 分類コード：120302
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