知識モデルの可視化による深い理解支援

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作成： 1999/10/25 古田　一雄データ番号　　　：120039 知識モデルの可視化による深い理解支援目的　　　　　　：プラント運転操作における知識ベース問題解決能力獲得支援システムの開発研究実施機関名　：東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻近藤、古田研究室応用分野　　　　：教育訓練支援概要　　　　　　：　知識モデルを可視化、提示することによって適切なメンタルモデルの形成が促進されるという前提のもと、4層知識モデルで記述されたプラント運転操作に必要な知識および知識のつながりを可視化、提示する訓練支援システムを開発した。支援機能としてプラントの状態に同期した知識の可視化、提示や問題解決の認知過程の可視化、提示機能などがある。アンケートとインタービューの結果からシステムの有効性が確認された。　詳細説明　　　　：　複雑、巨大化する人工物システムにおいてさまざまな自動化や安全対策が機械の側で施される一方、人間には機械が対処することが難しいと考えられる、設計や教育の段階で予め想定されていない事象に対して知識ベースの問題解決行動がとれることが強く求めれられるようになってきている。このような想定外事象では、プラントに対する深い理解に基づいた適切なメンタルモデルを用いた問題解決が必要となるが、適切なメンタルモデルの形成を支援する方法は確立されておらず、講義や、シミュレータ訓練の反復によって身につけているのが現状である。本研究では講義や訓練では明示的に表現されない知識の結びつき、さまざまな観点、抽象度からなる人間が持つべきプラント運転に対する知識の全体像を、計算機技術を用いて視覚的に把握しやすく学習者に提示することによってプラントに対する理解、適切なメンタルモデルの形成を支援するシステムの開発を行った。　　構成、因果、状態、目標の4つの観点からプラントおよびプラント運転に関する知識を整理した4層知識モデルを用いてプラント運転操作に必要な知識を記述し、各知識空間をそれぞれ視覚的に把握しやすい表現法を用いて表現する。図1にそれぞれの知識空間の表現例を示す。((a)構成空間、(b)因果空間、(c)状態空間、(d)目標空間)ここでは構成、因果空間における抽象度の違い(system level, component level)とプラントの運転モードの違い(normal mode, ACCS mode, combination mode)をそれぞれ別に表現した。図1　Representation of each knowledge space. (a)Configuration Space (b)Causality Space (c)State Space (d)Goal Space（原論文1より引用）　試作した支援システムはコンピュータグラフィックスを用いて、4層モデルを用いて表現された知識空間を仮想三次元空間上に配置し異なる知識空間の間の知識の結びつきをリンクで描画することによってプラント運転操作に必要な知識の全体構造を可視化、学習者に提示する。学習者は注意の対象や抽象度に合わせて仮想空間上に描画された知識群を切り替えたり、任意の視点から観察したりすることが可能で、知識の全体像や結びつきを視覚的に把握することができる。また機器故障事象への対処に用いる知識を適当な知識空間の組み合わせを用いて、アニメーションによる該当知識と知識関係リンクの強調提示によって知識ベース問題解決における認知過程を可視化する(問題解決における認知過程の可視化機能)。　　これによって故障対応における効果的な知識の用い方認知過程に沿って視覚的に把握できるだけでなく、目標、状態空間といった浅い知識が、構造、因果空間といった深い知識から導出される深い知識―浅い知識の関係を視覚的に理解することができる。さらにプラントシミュレータと組み合わせ、シミュレータを操作しながら同期的に知識の提示を行う(プラント状態のとの同期表示機能)、本支援システムでは特に、シミュレータ上での弁操作によって変化する運転モードに対応した知識群の変化を視覚的に把握することが可能で、状況に対応して持つべき知識構造を理解できる。　　本研究では高速増殖炉(FBR)二次ナトリウム系の運転操作を学習対象とし、上に説明した支援機能を実装した。図2に支援システムの画面例を示す。(状態、目標空間およびそれらの間の関係を可視化したもの)アンケート調査及びインタビューによって各支援機能の評価を行い、試作した支援システムの有効性が確認された。図2　Outlook of the pilot system（原論文1より引用）　コメント　　　　：　知識ベースの問題解決能力獲得の支援をめざした研究例はすくない。知識構造の可視化による教育支援、発想支援の研究例の中でも単なる知識構造の可視化のみにとどまらず、問題解決における認知過程、およびプラント状態に同期した状況依存知識構造を可視化した点が新しい。　原論文１ Data source 1：プラント運転操作に用いられる知識の可視化による深い理解支援システム菅野　太郎、古田　一雄、*吉川　信治東京大学大学院工学系研究科、*核燃料サイクル開発機構ヒューマンインタフェースシンポジウム'99 論文集、2321 (1999) pp. 691-696. 原論文２ Data source 2： Support System for Profound Understanding of Plant Operation by Visualization of Relevant Knowledge Taro Kanno, Kazuo Furuta, *Shinji Yoshikawa The University of Tokyo, *Japan Nuclear Cycle Development Institute IEEE Int. Conf. on Systems, Man, and Cybernetics, TA08-3 (1999) Ⅲ-681～Ⅲ-686. 原論文３ Data source 3：プラント運転操作に用いられる知識の可視化による深い理解支援システム菅野　太郎、古田　一雄、*吉川　信治東京大学大学院工学系研究科、*核燃料サイクル開発機構日本原子力学会「1999年春の年会」要旨集、E51. 参考資料１ Reference 1：行動発話分析によるプラント運転員の知識モデル構築古田　一雄、*吉川　信治東京大学大学院新領域創成科学研究科、*核燃料サイクル開発機構人工知能学会誌、14 (6) (1999) pp. 989-1000. キーワード：プラント運転操作、深い理解、訓練支援システム、知識モデル、可視化 plant operation, profound understanding, training support, knowledge model, visualization 分類コード：120403
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