G.薄膜材料


 
  1. 中性子反射率による単分子層修飾金電極の構造解析 (JRR-3, SUIREN)

    石英基板に蒸着した金薄膜、および金薄膜上に機能性有機薄膜を形成させた試料について中性子鏡面反射率を測定した。金薄膜とその上に形成した有機薄膜の界面での反射率プロファイルから微細な膜構造を見出すことができた。


  2. Bi系高密度光記録材料薄膜の深さ方向の組成分布解析 (JRR-3, SUIREN)

    Si基板上にスパッタリングにより保護層、記録層、保護層を形成した試料について中性子反射率を測定した。表面の保護層に異なる物質を使用した試料を比較した。その結果、保護層に用いる物質によって薄膜中の層構造に違いが生じることが分かった。さらに、記録層物質にホウ素有りと無しの物質を使用し中性子反射率を測定し解析した結果、深さ方向の組成分布から、界面構造についてより詳しい知見が得られた。


  3. NdFeBの表面磁気構造評価 (JRR-3, SUIREN)

    鏡面研磨したNdFeB焼結体を試料として用い、磁性材料に対して偏極中性子反射率の測定が可能であることを確かめた。


  4. コンデンサ用誘電体皮膜解析 (JRR-3, SUIREN)

    ガラス基板上にスパッタ法でニオブとタンタルを成膜したものを、陽極化成処理し、熱処理の有無に分けた4つの試料について中性子反射率の測定を行った。プロファイルに大きな差はなかった。つぎに、電圧をかけた陽極酸化処理を施し絶縁皮膜を形成し、その上に化学酸化重合法により導電性高分子層を形成した試料を試験した。タンタルの電圧処理を追加した試料では絶縁酸化膜層と高分子層との間の界面幅が狭まり、より平坦になっていることが分かった。


  5. Fe/炭化物スパッタ多層膜の中性子反射率測定による水素トラップ状態の検討 (JRR-3, SUIREN)

    Fe(10nm)層とTiN(10nm)層を交互に20層重ねた多層膜をSi基板上に作成した試料を複数用意し、水素を導入したものと、導入しないものを比較した。中性子スピン反転有無を加えた測定も行った。中性子反射率プロファイルの0.04Å-1以下の領域で明確な差異が認められた。水素トラップ状態の違いを反映したものと思われる。


  6. 中性子反射率によるバイオ燃料電池電極界面の構造解析 (JRR-3, SUIREN)

    バイオ燃料電池の電極としての酸化チタン薄膜について電極界面構造情報を得るため、酸化チタン薄膜そのものと酸化チタン薄膜+重水の系について、中性子反射率測定を行った。後者の中性子反射率プロフィルに重水界面に由来した反射率の変化が観測されたが、詳細な情報を得るには薄膜形成条件の制御が不十分と評価している。


  7. 磁気ヘッド膜の反強磁性/強磁性界面における磁気構造の評価 (JRR-3, SUIREN)

    Si基板上にTa,Ru,MnIr,CoFe,Cu,Ruの一軸配向の多結晶体の薄膜を形成した試料について偏極中性子反射率を測定した。入射中性子のスピンの上下と検出中性子のスピンの上下の組み合わせによる4つのプロフィルから磁化構造の評価ができることを示した。


  8. 中性子反射率法によるシロキサン樹脂膜の評価 (JRR-3, SUIREN)

    シリコン基板上に形成したシロキサン樹脂膜について中性子反射率を測定し、解析の結果散乱長密度の深さプロファイルを得た。つぎに実用に近い銅の膜付きシリコン基板上に形成したシロキサン樹脂膜について中性子反射率を測定し、シロキサン樹脂膜への銅の拡散を確認できた。


  9. TiO2薄膜の5nm不完全極薄膜の薄膜密度の測定技術の調査 (JRR-3, SUIREN)

    ガラス基板上に酸化クロム膜層、更にその上にTiO2膜をスパッタ成膜した試料について中性子反射率の測定をし、解析により散乱長密度の深さプロファイルを得た。TiO2膜は5nmの外に10nmの膜厚の試料を測定し表面の密度変化の傾向を確認した。ZnO/Zn(1.2nm)/Ag(5.6nm)/ZnO/ガラスの多層膜試料について中性子反射率を測定、膜厚と密度を解析し、TEM、X線反射率の解析結果と良く一致することを確認できた。


  10. 合わせガラスにおける中間膜/ガラス界面の評価 (JRR-3, SUIREN)

    PVB樹脂フィルムを中間膜とするガラス界面での水の分布を評価するため、重水高湿度下で調湿した中間膜と軽水低湿度下で調湿した中間膜を用いた合わせガラス2試料について中性子反射率を測定した。フィッティング解析により散乱密度プロファイルを得た。調整湿度をよく再現する結果が得られた。


  11. 銅エポキシ樹脂接合界面の中性子反射率測定による研究 (JRR-3, SUIREN)

    Siウエハの上にエポキシ樹脂をコートし、水蒸気イオンを真空中照射し、Cuを蒸着したものを試料とし中性子反射率を測定した。ただし、水蒸気イオン照射については重水素置換の有無、照射なしの3通りの試験に分けた。結果には有意の差があった。


  12. 垂直磁気記録多層薄膜界面磁気構造の解析 (JRR-3, SUIREN)

    Si基板の上に積層したC/Pt/Ru下地層の上にCo-Pt-TiO2(15nm)の磁気層を積層した薄膜積層構造の試料に対し中性子反射率を測定した。解析の結果、膜厚、界面幅、磁気散乱長密度の値が他の測定から求めた値と良い一致を得た。


  13. 磁面シリコンを添加したダイヤモンドライクカーボン(DLC-Si)薄膜の表面構造解析 (JRR-3, SUIREN)

    DLC−Si膜試料はCVD法によりSi基板上にダイアモンド調製原料ガスの他にSi化合物ガスを添加して調製したもので、Siの添加量を変えて3種類調製した。できた後水に浸漬して保存した試料の結果から、Siの添加量の増加に伴って散乱長密度が計算どおり減少していること、表面でSiO2層が形成され、SiOH層が増加していることが分かった。


  14. 鉄鋼材料の表層酸化物の組成および構造解析 (JRR-3, SUIREN)

    純鉄を研磨、加熱(非加熱、300,400,450,500℃)、空気で酸化、により酸化した5つの試料について中性子反射率を測定した。結果は、酸化条件の差によってプロファイルに明確な変化は認められなかった。


  15. 水素フリーDLC膜の膜密度評価 (JRR-3, SUIREN)

    Si基板上に密度の異なるDLC膜を成膜した4試料について中性子反射率を測定した。解析の結果、水素フリーのDLC膜試料は水素フリーでない試料と比べて高密度であることが確認できた。再試験の結果、密度は水素フリーは3.0g/cm3従来DLC膜1.5g/cm3の2倍を確保した。さらに、添加元素を有するDLC膜について中性子反射率を測定した。臨界角が明瞭なため密度が容易に評価できた。約10%の密度向上が得られた。


  16. シリコンを添加したダイアモンドライクカーボン薄膜の表面構造解析 (JRR-3, SUIREN)

    シリコンを添加したダイアモンドライクカーボン(DLC-Si)の表面構造は大気中の水の影響を受けないことが明らかになった。ただし、DLC-Siの表面構造は大気中で経時変化することがわかった。


  17. 光導波モードセンサー用糖鎖ポリマー高分子薄膜の構造解析 (JRR-3, SUIREN)

    近年,糖鎖を用いたバイオセンシングの研究が注目されている。菌やウイルスなど有害物質を検出するための(導波モードセンサー用)糖鎖ポリマー高分子薄膜の構造は,従来法では計測が困難であったが、中性子反射率測定により,ナノレベルの薄膜構造解析に成功した。